ラグジュアリーブランドYSLの世界観と再現度の高いブランドエフェクトで、21万回もブランドエフェクトを体験
TikTok For Businessが提供するデジタルコミュニケーション機能のひとつ「ブランドエフェクト」は、先端テクノロジーを用いてさまざまなクリエイティブコンテンツを実現することができます。
ブランドエフェクトは、ブランド機能や世界観をユーザーに体感させることができるため、高いブランドリフトが期待できるツールです。
本記事では、そんなブランドエフェクトの特性をうまく生かした最新プロモーション事例をご紹介します。
2020年5月に実施したYVES SAINT LAURENT BEAUTÉ(イヴ・サンローラン・ボーテ、以下、YSL)」のハッシュタグチャレンジ「#YSLロックシャイン」では、全11色のカラーバリエーションの中から6色を厳選し、オリジナルブランドエフェクトを開発。実際にリップをつけているかのような擬似体験をTikTokユーザーに提供しました。
イヴ・サンローランがTikTokを活用した背景
ロレアル リュクス事業本部 イヴ・サンローラン・ボーテ事業部 コミュニケーションマネージャーの野山佳世子様に今回のキャンペーンが実施された背景について、お話を聞きました:
YSLの「VOLUPTÉ(ヴォリュプテ)」というコスメブランドは、2013年にローンチし、今年で8年目。YSLの日本でのビジネスを大きく飛躍させた、YSLにとって最も重要なブランドの一つです。今回、TikTokでキャンペーンを実施したのは、今年2月に発売された「VOLUPTÉ」のリップシリーズ「ROUGE VOLUPTÉ ROCK’N SHINE(ルージュ ヴォリュプテ ロックシャイン)」の新作となります。
リップのようなカラーメイク商品は、ファンデーションやスキンケア商品と違い、新色など、新鮮さに魅力を感じて購入されるケースが多いカテゴリーです。「ROUGE VOLUPTÉ ROCK’N SHINE」ではこれまでも新作を出していますが、統一感のあるシリーズとしてパッケージは共通、リップの色が新しいという打ち出し方をしてきました。そのため、ブランドとしての認知度は十分獲得できている一方で、これまでと同じ訴求方法では、新鮮さを感じてもらいづらいという課題がありました。
そこで、新色の発売を機に「さらにリーチを広げること」「商品の新鮮さだけでなくプロモーションにも新鮮さを持たせること」を目的に、TikTokを活用することになりました。YSLがTikTokを活用したキャンペーンを実施するのは初めてでしたが、ロレアルの他のブランドでのナレッジがあり、さらに日本のコスメのトレンドにおいてTikTokの注目度が高まっていたことが、今回の活用の後押しになりました。YSL自体も「新しいものを常に取り入れる」という姿勢を世の中に打ち出しているブランドであるため、ラグジュアリーブランドの中でも先行してTikTokとコラボレーションすることで、エッジの効いたブランディングにつなげたいという思いがありました。
今回のキャンペーンの企画が進行している最中、新型コロナウイルス感染症が拡大し始め、「お客様が店頭に足を運べない」「店頭にお客様が来ても、テスターが使えない」「マスク利用やステイホームによりリップを使う機会が減っている」という、これまでにない新たなビジネス課題が発生しました。この課題を解決するために、まずは、ユーザーは店頭でテスターを使わなくても、自宅にいながら新作リップを体験できるようにすることが重要でした。
今回のキャンペーンでは、ブランドエフェクトを使ってリップを擬似体験させるだけでなく、さらにその先にあるメイクの楽しさや「VOLUPTÉ」のキラキラとしたブランドの世界観を伝えるというところまで取り組みました。
TikTokのブランドエフェクトだから実現できたこと
今回のブランドエフェクトには、忠実にリップの色や質感を再現し、ユーザーが体験できることが求められていました。単純にリップの色や質感を再現するだけなら、YSL自社のECサイト機能、他のアプリでも対応できる、今回は、それだけに留まらず、リップを使うことでテンションが上がり、楽しくなるという気持ちを改めてユーザーに届けるという点においては、TikTokブランドエフェクトならでは提供できた価値でした。
コロナ渦にあり、女性たちがメイクの楽しさを忘れがちになりつつある中、「ROUGE VOLUPTÉ ROCK’N SHINE」はちょっとポップで可愛らしく、デートでも使えるロック調なので、その世界観をブランドエフェクトと楽曲を使い、楽しい体験をユーザーに届けました。
女の子の場合、理屈抜きで可愛いと感じてもらえれば成功と言えます。TikTokのブランドエフェクトではリップの色や質感の擬似体験だけでなく、顔の可愛さがプラスされることがさらにユーザーのテンションを高め、より多くのユーザーの使用につながりました。
ブランドエフェクト制作でのこだわり
TikTok For Businessは世界各国でハッシュタグチャレンジを実施していますが、国や地域によってユーザー動向に違いがあります。例えばアメリカの場合、簡単なルールさえ作っておいて、あとはユーザーが自由な発想に任せればいいが、日本では、お手本動画を用意され、ユーザーが真似するほうが参加しやすいという傾向が出ているため、簡単なアクションで使えるブランドエフェクトをハッシュタグチャレンジにプラスすると参加率は大幅にアップします。
<詳しくはこちら:ハッシュタグチャレンジをより効果的にする5つのポイントとは>
また、もともと日本のユーザーは自分の顔を出して動画を撮ることに抵抗がありますが、その一方で、自分が可愛く見えたり、盛れた写真は積極的にSNSに投稿します。そんな日本の女の子たちが動画を投稿したくなる要素である「可愛く盛れる」という点も、ブランドエフェクトでは重視しています。
リップの商品訴求の部分では、リップの色や質感をブランドエフェクトで忠実に再現するところにこだわり、単に色を抽出して使用するのではなく、実際にリップを塗った時の光の加減による色の見え方の違いまで徹底的に検証しました。そのため、単なる色の再現ではなく、リップの持つキラキラ感まで表現しました。さらに、ブランドロゴとともにリップの色番もきちんと見せることもポイントです。ブランドエフェクトの擬似体験する際、ユーザーが唇を尖らせた瞬間にリップの色が切り替わります、「この色がいいな」と思ったらすぐに色番を確認できます。
実際にブランドエフェクトを試したユーザーからは「何番の色が私に合ってた」というコメントが多く、他人の動画にも「何番が似合うと思います」と言ったコメントを入れるユーザーも多く見られました。擬似体験で似合う色を見つけ、その場で色番をしっかり記憶できるエフェクトになったことで、TikTokを楽しみながら自然な流れで購買を意識させる結果となりました。
これまで若年層を中心に盛り上がってきたハッシュタグチャレンジは、面白さや笑いの要素があるものが多いですが、今回のキャンペーンでは面白さよりも綺麗でカッコいいイメージを狙いました。そのためオリジナルで製作した楽曲は、TikTokユーザーが動画を撮りやすいようなポップさや可愛らしさがありながら、ラグジュアリーブランドであるYSLの世界観を保つような大人っぽいものに仕上げました。
それが功を奏し、20代前後だけでなく30代以上、美容やコスメに関心の高い女性ユーザーの投稿も多く見られました。ブランドの持つ世界観の中で、綺麗でカッコいい自分の動画を作れることが、より多くの女性の投稿意欲を促進できたと見られます。
ブランドエフェクト利用回数は21万回!クリエイティブの魅力でオーガニック投稿が増加
今回のキャンペーンでは、ほとんど広告配信をしなかったのにも関わらず、ブランドエフェクトの利用は21万回という驚異的な結果となりました。
最大の成功要因は、
・ブランドエフェクトの完成度の高さ
・ブランドの世界観が女性たちの投稿意欲を促進した
という点にありますが、それをさらに後押ししたのがTikTokクリエイターの存在でした。
今回、女性フォロワーが多い人気TikTokクリエイター・南部桃伽さんを中心にキャンペーンを展開。南部さん以外には、マイクロインフルエンサーと呼ばれるフォロワー数10万人以下のクリエイターを数名起用することで、さまざまなバリエーションで撮られた動画がスタンプページに並ぶようにしました。このクリエイター達の動画がお手本となり、多くの女性たちが真似したり、アレンジをして投稿するということにつながりました。
また、今回のキャンペーンには関わっていないTikTokクリエイターさんもキャンペーン開始直後に自ら動画投稿してくれて、それに連鎖するように、更に多くのクリエイター達がオーガニック投稿し、一気に拡散されました。
このように、オーガニックでたくさんのクリエイターやユーザー達を巻き込まれたのは、クリエイティブが大きな要因と考えられます。
リップ単体の売上は前月比1.5倍にアップ!
今回のキャンペーンでは、TikTokのブランドエフェクトのクリエイティブがユーザーに「試したい」「投稿したい」という気持ちにさせ、エフェクトを体験することで「商品を知る」「お気に入りの色が見つかる」「買いたくなる」ことにつながるという好循環を生み出しました。
コロナ渦でリップの需要が落ち込んでいた中でも、リップ単体の売上は6月に前月比で約1.5倍にまで伸びました。
さらに、従来の「ROUGE VOLUPTÉ ROCK’N SHINE」のターゲットよりも少し下の層である20代以下の新規顧客獲得も実現できました。当初の目的として掲げていた「新規顧客の獲得」「ブランドとしての新しさの発信」にTikTokは大いに貢献したと言えます。
当社が実施したブランドリフト調査によると、広告記憶度のリフト率が123%もアップしており、特徴理解度、好感度など他の指標も軒並みアップしていました。単に動画広告を配信して一方的にユーザーに印象付けるよりも、ユーザーが商品を擬似体験できるというところが強く印象に残ったのではないかと思います。
また、TikTokの投稿から他のSNSへのシェアが多かったことも、今回のキャンペーン特徴と言えます。
TikTok上でユーザー同士がコメントをし合うことも頻繁に見られましたが、TikTokで撮った動画やスクリーンショットを他のSNSにシェアし、「TikTokでYSLのリップが体験できるよ」「私は何番を使っています」といった投稿をする人が多く、TikTok内外で強い拡散力を発揮したキャンペーンになりました。
カジュアルからラグジュアリーまで、世界観を保ちながらターゲットに伝える
これまでTikTokはユーザーが若年層に偏っていると思われがちでしたが、実際には幅広い層へと拡大しています。そのため、クリエイティブ、楽曲、振り付け、クリエイターのキャスティングなどをターゲットに合わせて設計することで、反応してもらえる層にリーチすることが可能となっています。
特にクリエイティブの面では、ハイクオリティーなアニメーションをブランドエフェクトに盛り込む技術があるため、ラグジュアリーブランドなど細部までこだわりを求めるケースにも十分対応することができます。
今回のキャンペーンは、日本のTikTokでは初めてのラグジュアリーブランドとのコラボレーションでしたが、目標の達成に貢献することができ、さらにYSLの新しいチャレンジとして注目される取り組みとなりました。
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