「クリニーク」がTikTokを基軸に大型キャンペーン 新時代にスキンケアブランドがデジタル上で消費者を振り向かせる方法とは
スキンケアブランド「クリニーク(CLINIQUE)」が10月から12月にかけて、TikTokで大型キャンペーンを実施している。
コロナ禍で新たに生まれたマーケティング課題を解決するための手段としてTikTokを選んだといい、今回はブランドで人気の保湿ジェルクリーム“モイスチャー サージ”に特化し、“3秒でごきげんskin”をテーマにTikTokを基軸にフルファネル型の取り組みを行う。
TikTok for Business Japanのヴィクトリア・ユスティノヴィッチ(Victoria Yustinovich)ヘッドオブブランドクライアントパートナーシップ シニアディレクターは「TikTokがこの数年でソーシャルとエンターテイメントの世界に起こした革命はポジティブでリアルなコンテンツを求める消費者の共感を得ることに成功し、消費者もこれまでとはまったく異なる購買行動を取るようになった。広告主はプラットフォームを活用し、革新を起こして結果を出すという貴重な機会が得られる」と話す。「クリニーク」はTikTokをどのように活用しているのか。
TikTokで親近感のあるブランドイメージを構築
左から、南部歩TikTok for Business Japan ブランドクライアントパートナーシップ インダストリーマネージャー、莫盈「クリニーク」コンシューマー マーケティング マネージャー、高木千尋TikTok for Business Japan ブランドクライアントパートナーシップ クライアントパートナー
PHOTO:SHUHEI SHINE
WWDJAPAN(以下、WWD):コロナ禍においてスキンケアブランドとしての課題とは?
莫盈「クリニーク」コンシューマー マーケティング マネージャー(以下、莫):近年のソーシャルディスタンスや百貨店の休業によって、お客さまとブランドの間にできてしまった距離感をいかに縮めるかが課題だった。特に百貨店で取り扱うスキンケア ブランドとしては、製品購入までの検討期間も長く、消費者との距離が縮めにくいことがあると思う。店頭に足を運ぶ機会も少なくなりがちな環境においてデジタルがより重要になったため、新しいアプローチ方法を探していた。
WWD:今回は“ごきげんskin”をテーマに何を伝えた?
莫:お客さまとの距離を埋めていくにあたり、まずは手に取りやすい、親近感のあるブランドでありたいと考えた。ブランドの親近感を醸成する点では、9月に幅広い年齢層に愛される滝沢カレンさんをアジア地域ブランドアンバサダーにお迎えしたことも新しい動きだった。“ごきげんskin”というワードはブランドがスキンケアに向き合う姿勢を表した言葉でもあり、滝沢カレンさんのパーソナリティを表す言葉でもある。また、コロナ禍で在宅が増え、内にこもりやすい気持ちをポジティブにするという意味合いもあると考えた。皮膚科学から生まれたブランドということで、これまでのコミュニケーションはサイエンスや皮膚生理学などを主に伝えてきたが、今回はより情緒価値を生み出すために選んだワードだった。
南部歩 TikTok for Business Japan ブランドクライアントパートナーシップ インダストリーマネージャー(以下、南部):TikTokと美容は相性がよく、美容カテゴリーの再生回数は昨対比2倍に成長している。年齢や性別ではなくコンテンツベースの興味関心で広がるプラットフォームだからこそ、新たなブランドや製品を好きになっていただきやすい。TikTokでは定期的に「ユーザーはプラットフォームに対してどう感じているか」を調査しているが、ユーザーからも「TikTokは見ていて楽しい気持ちになる」という感想が圧倒的に多く、「クリニーク」が伝えたい“ごきげん”と親和性があるのではと考えている。
WWD:なぜTikTokを選んだ?
莫:TikTokを選んだのは、20〜30代の美容関心層を今回のコアターゲットとして狙ったコミュニケーションの意図もあるが、1ユーザーとして使っていてもポジティブな気持ちになれるTikTokはクリエイティビティもあり、消費者も参加しやすく距離を縮めやすいプラットフォームだと感じ、取り組みを決めた。ブランドが表現したいと思っているスキンケアの楽しさやポジティブ、前向きな姿勢を体感いただける場所だと思ったことも大きかった。
南部:フォロー・フォロワーの投稿だけでなくさまざまな動画がおすすめで流れてくるので、誰でも距離感近く楽しめる。排他的でないというのはブランドがユーザーとコミュニケーションしやすい点だ。またシェアボタンで各プラットフォームへの拡散性が高いということも見込んでいただけたのかなと思う。
「効果が出やすいスキーム」で構成
WWD:キャンペーンはどう計画したか?
莫:取り組みは3段階で進行する。最初に滝沢カレンさんを起用した“モイスチャー サージ ジェルクリーム 100H”の世界観を見せる動画配信から始まり、第2フェーズのハッシュタグチャレンジを話題の盛り上がりの部分として位置付けた。エフェクトでスキンケアで得られる楽しい気持ちを味わっていただいてエンゲージメントを生み出し、第3フェーズではトライアルセットへの誘導を図ることで、購買までつなげる計画だ。
高木千尋 TikTok for Business Japan ブランドクライアントパートナーシップ クライアントパートナー(以下、高木):まず製品やブランドを知っていただく、そして距離を詰める、最後に追いかけるという3段構成を組んでいただいた。今回のようにフルファネルであること、芸能人を起用した動画・クリエイター動画・UGC動画のマルチクリエイティブであることの2点は効果が出やすいスキームだ。
ユーザージャーニーに合わせた配置が重要
莫盈「クリニーク」コンシューマー マーケティング マネージャー
PHOTO:SHUHEI SHINE
WWD:現在第2フェーズだが、本キャンペーンの第3フェーズの展開は?
莫:11月下旬から12月にかけて始まる第3フェーズではエフェクトでアピールした“モイスチャー サージ ジェルクリーム 100H” のトライアルサイズに誘導することで、みずみずしいテクスチャーが人気の製品にまずは触れてもらうことを促す。
WWD:TikTokの今後の活用についてはどう考えている?
莫:今後もTikTokの拡散性やポジティブさに期待している。CRMや各プラットフォーム、店頭で展開する施策などと組み合わせながら行う予定だ。今回はまず、ブランドの現在地が理解できるようになるため、今回得られる学びや築けたお客さまとの関係を長期で深めていきたい。
南部:消費者は当然TikTokだけを使っているわけではなく、さまざまなサービスを使いながらブランドと接点を持つ。現にユーザーの約8割がTikTokで見た商品を他の場所で検索したり、深く理解しようと行動に移している。特にこの数年でオンラインで情報を得る傾向は強まった。ユーザージャーニーに合わせて適切にコミュニケーションを配置していただくことは重要だと考えている。そしてユーザーコミュニケーションは1回のキャンペーンで終わりではないと思うので、今回出る調査結果やラーニングを次に生かしながら、長期的にコミュニケーションを深化させていきたい。
日本市場ではスキンケアブランドで初のエフェクトも活用
TikTokクリエイターを起用した動画イメージ
@y.rua0515 しっかり保湿されてるんだけどベタつかずもっちりする!おすすめすぎる❤️????????#3秒でごきげんskin#モイスチャーサージー #クリニーク #pr ♬ モイスチャーサージでごきげんskin – CLINIQUE
“3秒でごきげんskin”のエフェクトはモノトーンから始まり、指示されたポーズを真似していくうちに「ごきげんがチャージ」されるように、“モイスチャー サージ ジェルクリーム 100H”のピンク色の世界が広がっていく。クリエイターが「クリニーク」の世界観で動画を発信し、一般ユーザーも真似やアレンジをしたりと楽しむことができ、幅広く動画視聴が拡散されるという。莫マネージャーは「“3秒でごきげんskin”というテーマで、商品を使っていただくことの良さをデジタル上で体感できることを目指した」と企画意図を語った。
「クリニーク」“モイスチャー サージ ジェルクリーム 100H”
TEXT:ANNA USUI
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