NewsPicks事例に学ぶ、TikTok広告活用の新常識「スマートパフォーマンスキャンペーン」とは
ショートムービープラットフォームのTikTokが提供する広告プラットフォーム「TikTok for Business」。TikTokのコンテンツの多様化に合わせて、TikTok for Businessを活用する業種も広がりを見せている。
その中でも高い成果を上げているのがソーシャル経済メディアのNewsPicksだ。
同社はTikTok for Businessの新機能「スマートパフォーマンスキャンペーン(以下、SPC)」を活用してアプリインストール単価(CPI)を28%削減したという。本記事では、NewsPicksの直近のプロモーション、そしてSPC活用の詳細について話を聞いた。
※このインタビューはMarkeZineにて2023年2月3日に広告掲載したものです。
「時短」「わかりやすさ」を軸に広告を展開
MarkeZine編集部(以下、MZ):最初にNewsPicksが展開するサービスと主なターゲットについて教えてください。
株式会社ニューズピックス Digital Promotion Unit Leader 大石 蔵人氏
大石:NewsPicksは、20代〜40代のビジネスパーソンをメインターゲットに据えたソーシャル経済メディアを運営しています。また、近年では大学生向けの「NewsPicks for Students」、子どものいる家族向けの「NewsPicks for Kids」、法人向けの「NewsPicks Premium 法人契約プラン」なども展開しているので、ターゲットは広がりつつあります。
私はその中でもNewsPicksアプリの新規ユーザー・会員獲得に向けて、デジタル広告を担当しています。
MZ:デジタル広告で新規獲得を行っているとのことですが、ターゲットに対してどのようなメッセージ訴求を行っているのでしょうか。
大石:直近のデジタル広告では「時短」「わかりやすさ」を訴求するクリエイティブを制作するようにしています。
NewsPicksユーザーの方々は、他のメディアのユーザーに比べて能動的に情報収集を行う傾向があります。その中には「効率良く情報を収集したい」「専門家のコメントで知識を深めたい」など、多角的なニーズが存在しているんです。
我々はそういったニーズに対応すべく、インフォグラフィックや動画など様々なフォーマットでニュースをわかりやすく、おもしろく発信しています。そのため広告でもその特徴が伝わるメッセージを意識しています。
NewsPicksがTikTok for Businessを活用した理由
MZ:今回TikTok for Businessをユーザー獲得に活用した背景について教えてください。
大石:TikTokは、ユーザーとコンテンツが多様化しており、NewsPicksとの親和性の高いユーザーが多く集まるプラットフォームになったと感じたためです。2020年にTikTok for Businessを活用したことはあるのですが、そのとき以上にTikTokのユーザーは大きく増加し、教育やビジネス関連のコンテンツも増えました。元々レコメンドシステムの精度を高く評価していたこともあり、新規ユーザー獲得最大化のタイミングでもう一度広告にチャレンジしてみようと考えました。
MZ:今回は新たに自動最適化機能であるSPCを導入したと聞いています。その理由を教えてください。
大石:我々は獲得系の広告をインハウスで運用しており、他のプラットフォームの自動最適化機能の利便性を理解していました。なので、TikTok for Businessの自動最適化機能も同様に、アドセットごとでクリエイティブや機能を細かく検証をする必要がなく、以前よりも少ない工数で簡単に入稿できると伺い、ぜひ試してみたいと思いました。
また、先ほどお伝えしたように、いちユーザーとしてもTikTokのレコメンドシステムの精度が非常に優れていると感じていたので、広告の自動最適化機能も優秀なのだろうという期待もありましたね。
3つの機能を1つに統合し、広告主の負担を軽減!SPCの魅力
MZ:では今回、NewsPicksさんが活用されたSPCとはどのような機能なのでしょうか?
TikTok for Business Japan, Product Solutions and Operations, Product Marketing Manager 楊 順儀(ヤン シュンイ)氏
楊:SPCは、これまでTikTok for Businessで提供していたキャンペーン予算最適化(CBO)、ダイナミック広告(ACO)、そして自動ターゲティングの3つの自動化プロダクトを1つにまとめた機能です。最大の特徴は広告主様の負担を減らした設計にあります。
従来のアプリインストール広告のキャンペーン構造においては、配信目的などの全体の概要を設定するキャンペーン階層、ターゲティングや入札戦略などを設定する広告セット階層、動画素材を中心にクリエイティブを設定する広告階層の3つに対して、項目を設定する必要がありました。
SPCでは広告セットの概念を撤廃し、入札と予算、動画クリエイティブ、広告テキストを設定するだけでキャンペーンを開始でき、広告配信を自動最適化します。
TikTok独自のレコメンドシステムをもとに、動画とテキストが最適な組み合わせで配信されるため、運用や分析の工数をかけずに、手早く効率の良い配信設計で、広告パフォーマンスを発揮することができます。
また、どの組み合わせのクリエイティブが良かったかなど、TikTok広告マネージャー上でレポートや配信結果を閲覧できるため、スピーディーに効果を確認し、改善が必要なクリエイティブを特定することが可能になっています。
稲垣:これまでは広告セット単位でターゲティングや予算や最適化対象、入札戦略などを設定する必要がありましたが、それを撤廃したことでキャンペーンの設計から入稿、実際の配信開始までの設定にかかっていた従来のオペレーションコストを大幅に削減することができました。
TikTok for Businessは広告プラットフォームとして、広告主様や広告代理店様がクリエイティブの運用、分析、改善により時間を使うことができるよう、特に自動化という観点で広告機能の改善に取り組んでいます。
SPC導入のメリット
楊:TikTokではコンテンツ力の高いショートムービーが流れるフィードに広告が配信されるため、よりTikTokライクな動画クリエイティブを作成、入稿できるかどうかが一つ重要なポイントになってきます。アプリ広告主様、広告代理店様には、今後SPCをさらに活用いただき、広告クリエイティブの磨き込みや改善により多くの時間を使っていただきたいです。
効果の高さから出稿額は2番目に、CPIは28%低下
MZ:SPC導入によって得られた成果を教えてください。
クリエイティブの一例
大石:今回の取り組みでは、導入前にTikTok for Businessで入稿していたクリエイティブの中でパフォーマンスが高かったものを活用したのですが、導入前に比べてCTRは13%上昇、CPIは28%低下しました。
導入したのは2022年の9月頃ですが、現在では広告出稿媒体のポートフォリオのうち約20%はTikTok for Businessが占めており、全体で2番目に大きな媒体となっています。TikTokは今後もユーザーが増えていくと思いますので、今後も継続的に出稿したいと考えています。
楊:SPCはマニュアル設定の必要な要素が最小限になっており、自動最適化の機械学習に任せて配信するシステムなので、導入前は効果に不安を持たれる広告代理店様や広告主様もいらっしゃいます。ですが、今回のNewsPicks様以外にも導入後「CPIが低下した」「インストール後のアプリ内のイベント(課金など)の転換率に好影響が見られた」の評価が得られています。
現在ではゲームやエンターテインメントなど、幅広いアプリ業界の広告主様の配信アカウントにて活用いただいております。
SPC活用のコツはクリエイティブの高速PDCA
MZ:NewsPicksの大石さんは今回SPCを活用してみて、何か気づきや学びはありましたか。
大石:TikTokのターゲット含有率の高さには驚きました。元々個人的なイメージでNewsPicksのメインターゲットである20代から40代のビジネスパーソンのうち、TikTokでは比較的若い層へのアプローチとなると考えていました。しかし、実際には30代から40代の方にもリーチできていたんです。
MZ:今回非常に良い成果が出たSPCですが、SPCを活用する際に広告主や広告代理店が気を付けたいポイントがあれば教えてください。
TikTok for Business Japan, Product Solutions and Operations, Product Marketing Lead 稲垣 勇登氏
稲垣:クリエイティブに関するPDCAを高速に回すことが、TikTok for Businessのアプリインストール広告を活用して広告効果を高めるために重要なポイントです。これまでの運用では、キャンペーン配下の広告セットごとに運用していただいていたため、キャンペーン全体での各クリエイティブ単位での効果判断などが難しかったという背景がありました。
しかし、SPCにおいてはアプリインストールやその後のアプリイベントの転換率、ROASなどの目標指標に対して、効果の高いクリエイティブが一律に評価、分析しやすくなっており、運用改善が実施しやすくなっています。
より効果の高い動画のストーリー設計や訴求内容、CTA(Call To Action)を把握し、TikTok for Businessにおけるクリエイティブの勝ちパターンをより迅速に把握できるのです。
iOSへの展開などポテンシャルに期待大
MZ:最後に今後の展望について聞かせてください。
大石: TikTok for Businessは、今後もポテンシャルが高い広告プラットフォームの一つとして考えています。今回のSPCの利用を通じて、TikTokは特にクリエイティブ供給が重要だと感じたので、今後はTikTokライクなクリエイティブ制作も含め社内体制を整えていきたいと思っています。
稲垣:SPCは、アプリマーケティングにおいてキーとなってくるソリューションであると考えています。今後もより多くの広告主様、広告代理店様にご活用いただく中で、フィードバックなどをいただきながら製品開発に活かしてまいります。現在はアプリインストール目的のキャンペーンにおいて、Android配信でのみ利用可能となっている状況ですので、今後はiOS配信やその他コンバージョン目的のキャンペーンへの対応も見据えております。
また、本機能についてはアプリ広告主様、広告代理店様に対してローワーファネルへの最適化を対象としたソリューションとなっておりますが、今後はアッパーファネル向けのプロダクトと組み合わせてご利用いただくようなアプリマーケティングに対する統合ソリューションを確立していければと考えています。
楊:これまで別々で提供していた3つの自動化機能を統合したことで、我々のアプリマーケティングのソリューションは自動化と効率化の観点で大きく前進したと考えています。今後も様々な業界のアプリ広告主様、広告代理店様に対して満足いただけるような広告ソリューションをご提供できるよう、NewsPicks様のような早期から新機能を活用いただける広告主様からのフィードバックやご意見を参考にしながら、取り組んでいきたいです。
稲垣:弊社のセールスやクライアントソリューションのメンバーとも引き続き密に連携を図りながら、広告主様、代理店様に対して最大の広告効果をお返しできるよう、TikTok for Businessとしてワンチームで取り組んでまいります。2023年においてはより業界に特化したソリューションの確立や、上述のクロスファネルにおける統合ソリューションのご提供をミッションとして、広告マーケットに向き合ってまいります。
Text:Kouki Takahashi
Photo:Tatsuro Sekiguchi
Edit:MarkeZine
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