【マーケティング最前線】TikTok活用成功の方程式|購買行動を加速させる 広告エンターテインメント

2023-11-09

ユーザーの消費意欲が減退し、デジタルマーケティングの効果にも陰りが見える中で、購買につながるプラットフォームとして存在感を高めているのがTikTokだ。

物が売れない時代に、なぜTikTokでは消費行動につなげることができるのか。9月に行われた「EC Webinar 2023」から、その秘密と成功の方程式を検証する。

 

※このインタビューは日経クロストレンド、日経エンタテインメント!(12月号)にて2023年11月2日に広告掲載したものです。
【マーケティング最前線】TikTok活用成功の方程式|購買行動を加速させる 広告エンターテインメント

<WHAT>広告エンターテインメントがユーザーの心を動かす

効率を重視して特定のターゲットに広告配信を繰り返す、デジタルマーケティングに対するアレルギー感がユーザーの間に広がっている。また、「世代マーケティング」にも限界が来ていると言われ、多くの企業が次の一手に頭を悩ませている。

そうした中で「物が売れる」プラットフォームとして注目され、「TikTok売れ」という言葉まで生まれたTikTokが、一過性のブームではなく、今やビジネスに欠かせないソリューションとして定着している。今年の上半期を振り返っても、花王「ビオレUV」など、TikTokで火が付いたヒット商品は少なくない。

デジタルマーケティングの反作用からユーザーは「生活者の邪魔をせず、わかりやすく楽しませてくれる」広告を求めているが、TikTokにはまさに、ユーザーを楽しませ、つい見たくなるエンターテインメント性の高い広告が多い。TikTok for Businessの駒﨑誠一郎氏は「言わば『広告エンターテインメントの力』でユーザーの感情を動かし、商品の魅力を広げていくのだ。」という。

企業とユーザーを結びつける、重要な役割を果たしているのが『TikTokクリエイター』だ。自らの知識と体験をベースに楽しく製品・サービスを紹介するクリエイターが、従来の広告の課題となっていた「認知」と「購買」の間に立ちはだかる壁を打ちこわし、ユーザーを消費に走らせているのだ。

なぜクリエイターの発信はユーザーを動かすのか。自身も様々な広告に携わり、実績を残しているクリエイターのほのぴすさんは、「信頼性」をポイントに挙げる。「TikTok内に広告が増えていることは、ユーザーも気づいていて、『これは嘘の情報じゃないか』と疑う人もいます。大事なのは、広告を発信するクリエイターにどれだけ信頼が蓄積されているか。『この人が発信しているなら、広告でも信用する』と思ってもらえるよう、普段の投稿から心掛けています」(ほのぴすさん)。

ほのぴすさん / 美容系の検証動画などで人気を集めるTikTokクリエイター。フォロワー数は75万人を超える。

 

さらに彼女は自身の〝勝ちパターン〟として「多くの広告主は冒頭のアイキャッチを意識しますが、最後まで見たくなる仕掛けを用意することが大事。また、説明過多を避け、エンターテインメントをかけあわせて楽しんでもらうことを意識しています」と語る。

TikTokはトレンドが次々に生まれ、変化のスピードも早い。ほのぴすさんは「投稿した後に結果が出るのが早いので、よりスピーディーにPDCAを回して、多くの成功パターンを蓄積する」ことも重要だという。

<WHY>TikTok広告は爆発力が出せる賢い選択

 23年のゴールデンウイーク前に、生活スタイルが異なる3組のTikTokクリエイターを起用した広告動画を発信したところ、自社サイトへの流入が1.2倍、さらにTikTok内での検索数が3倍に増加――。振動をしっかり吸収する独自開発の技術を備えた主力商品「コアラマットレス」を展開するオーストラリア発のD2C型家具ブランド・コアラスリープジャパンは、「潜在層を開拓したい」「ブランドとの新しいタッチポイントを作りたい」と考え、TikTokでの広告に取り組み、ブランド認知からエンゲージメントの立ち上げまでを一気に達成する成果を得た。

 尾澤恭子氏 / コアラスリープジャパン株式会社 Head of Marketing

 

ウェビナーにはコアラスリープジャパンの尾澤恭子氏、広告展開をサポートしたワンメディアの余頃沙貴氏、そしてTikTok for Businessの橋本剛典氏が登壇。TikTokを活用した理由について、尾澤氏は「オンラインが中心のため、実際に商品を試す機会が限られており、価値が伝わりにくいというマーケティング課題を抱えていました。そのなかで、競合ブランドがまだTikTokを活用していないという点に着目し差別化を図るために活用を始めました」と語る。

余頃氏は、他のチャネルと比べた際のユニークな点として、〝発見の場〟であることから、TikTokの活用をコアラスリープに提案したという。「他のプラットフォームやメディアは、すでに検索ワードが頭に浮かんでいたり、比較検討の段階に入っている人のタッチポイントと感じます。それに対して、TikTokはそもそも興味が生まれる前の人にリーチできます」。

余頃沙貴氏 / ワンメディア株式会社 取締役

 

事実、TikTokユーザーの視聴ジャンル数平均は5.8、1日の動画視聴本数は28というデータがある。橋本氏は「〝幅〟と〝本数〟で他のプラットフォームを圧倒しています。これは、ユーザーの興味の範囲が広く、また関心を持ったものをさらに深く知りたいという行動の表れ」と分析する。

様々なことに関心を持つユーザーが数多くいるということは、想定外の拡散にもつながる。尾澤氏は、TikTokの「起爆力」にも期待を寄せたという。「ある程度広告施策を展開していると、広告費に対するリターンが大体わかります。ですが、TikTokではリニアではなく、レバレッジがかかる点に魅力を感じます」(尾澤氏)。

コアラスリープジャパンは競合ブランドと差別化を図るためにTikTok活用を開始

<HOW>震源地から話題を拡散させ存在感を高める

広告動画配信を考える企業にとって、最終目標は売上アップだ。ヘアケア・美容家電などのカテゴリを中心に事業展開するI-neは、TikTokクリエイターを起用した動画を起点に、1万円以上する「サロニア イオンフェイシャルブラシ」の売上増を実現させた。

同社ダイレクトマーケティング本部D2Cブランドマネジメント部の小林禎亮部長によると、ECでの売上アップを目標に評判の種(震源地)を作るその評判を拡散させる③ECモール上での存在感を向上するという3段階での取り組みを行っており、「評判の種を作る」ところにて、ショート動画を活用しているという。

小林禎亮氏 / 株式会社Ⅰ-ne ダイレクトマーケティング本部 D2Cブランドマネジメント部 部長

 

「いきなり全体から行くのではなく、弊社が美容開拓層と呼んでいる、美容に関心が強いイノベーター/アーリーアダプターの方にアプローチして評判を形成し、そこから口コミを広げることを意識しています。評判の種を作る点で、ショート動画が有効と考える理由は3点。まず長尺動画と比べて、圧倒的な再生単価(リーチ単価)の安さ。また、単価が下がるので大量に動画を出すことができ、ユーザーと一貫したコミュニケーションの流れを作りやすい。さらにTikTokは、フォロワー数がそこまで多くなくてもバズる可能性がある。ローリスクハイリターンな場と考えています」(小林氏)。

朝戸太將氏 / 株式会社Natee 取締役COO

 

SALONIA洗顔ブラシでは、TikTokクリエイターを起用し、「ブラシを当てても卵黄が割れない」様子を見せることで、肌触りを伝えるエンターテインメント性の高い動画を作成。TikTokやショート動画を利用したマーケティング支援に取り組むNateeの取締役COO朝戸太將氏によると、動画配信からすぐに話題を集め、翌日にはECサイトの美容家電ランキングで上位に急上昇したという。「震源地」が生まれた後は、他のクリエイターを起用して「本当に卵黄が割れないのか」を検証する動画などを発信。評判を拡散させることに成功した。

TikTok for Businessの松本幸貴氏は、「TikTokでは、ユーザーの3人に1人が動画を見た後に欲しくなったり、購入したことがある」と語る。

I-neは美容関心層からアプローチし、評判を拡散させてECでの存在感を高めた

 

このウェビナーではほかにも、ビジネスアカウント運用と広告出稿を併用することでフォロワー数が増したサンリオの事例や、クリエイティブ制作のポイントなど様々な角度からTikTokのビジネスインパクトを解説した。

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