ブランドとユーザーが共創する時代の“気持ちを揺さぶる”広告クリエイティブとは|「TikTok for Business Japan Awards 2024 Creative Category」審査委員長 博報堂ケトル 嶋氏 インタビュー
TikTokにおいて高いクリエイティビティを発揮し、ビジネスや社会にインパクトを与えたキャンペーンを表彰することを目的に新設した「TikTok for Business Japan Awards 2024 Creative Category」は、エントリー締切まで約2週間となりました。
エントリーを検討されている広告代理店、広告主の皆さまに向けて、審査委員長である株式会社博報堂 執行役員、株式会社博報堂ケトル エグゼクティブクリエイティブディレクター 嶋 浩一郎 氏より、広告業界の動向や広告クリエイティブ制作におけるポイントについて語っていただきました。
TikTokによって、ブランドとユーザーが共創する時代へ
−−ショート動画やTikTokの登場による生活者の情報接触の変化について、どのように感じていますか?
ショート動画の特徴は、生活者の日常の中心にあるスマホを通じて接触できるコンテンツなので、日常生活に非常に馴染んでいることが一番大きいと思います。
ショート動画は直感的に生活者へ影響を与えることができるため、今までのプロモーションや広告とは全く違うアプローチが生まれていることを実感しています。
TikTokの一番面白いところは、『ミーム(=真似ること)』での広がりです。このTikTokならではの情報拡散の形には、単にミームにハマることでブランドが広がり認知が高まること以上に、『共創』という側面での示唆に富んでいると考えています。
実は、これは非常にレベルが高い情報伝達の仕方だと思っています。何かを真似るには解釈が必要なので、TikTokでは、発信者側だけではなく受け手側も情報を解釈しています。そのためTikTokは、『共創時代』を象徴するコミュニケーションプラットフォームになっているのだと思います。
真似るという行為を介して情報が広がるということは、非常に奥が深いんです。なぜなら、真似られていく連鎖の中で、受け手ごとに「私ならこうやってみよう」「こういうアレンジを加えてみよう」という新たなクリエイティビティが付与されて広がっていくからです。
真似ている過程で、受け手は、一度接触したブランドの情報に対して「オーナーシップを持つようになる」と言っても過言ではありません。ブランドに対して主体的に関わろうと自分事化した上でコンテンツを解釈し、そこへ自分なりの解釈を加えて発信したミームが、さらに伝播していくからです。
TikTokでバイラルするによって、ただ単に多くのユーザーがコンテンツに接触する以上のコミュニケーションが生まれ、だからこそ、TikTokの文化として根付いているのだと考えています。
−−生活者の情報接触の変化に伴い、広告業界にも変化があったかと思います。今後、広告クリエイティブの制作にあたって、どういったポイントを意識すべきでしょうか。
僕自身、よく言っているのが、今の時代、ブランドは「経典からカリフォルニアロールになる」という言葉です。
昔のブランドは経典のように「こうあるべき」という定めの中で生活者に届けられていましたが、共創時代の今は、そういうわけにはいきません。日本の伝統により作法が定められた「寿司」が、アメリカで広がるきっかけとして「カリフォルニアロール」に形を変えて浸透したように、ブランドもまた様々に形を変えて広がっていくのが新しいコミュニケーションの形だと思います。
ブランドがTikTokを活用するには、一方的に情報を発信するのではなく、受け手であるユーザーのクリエイティビティを活かして共創を行うことが重要です。ブランド自身が気づいていなかったことをユーザーから知ることができたり、ユーザーが真似をすることで共創が深まり、新しい形とともにブランドが広まってくからです。
広告が出る場所が特別ではなくなっている今、大事なのはユーザーとの共創を踏まえて制作したコンテンツ、リアクションまで含めた情報設計とクリエイティブ設計です。
嶋 浩一郎 審査員長
株式会社博報堂 執行役員
株式会社博報堂ケトル エグゼクティブクリエイティブディレクター
−−TikTokにおいて、クリエイターの存在は大きいと思いますが、今後、広告クリエイティブにおいてクリエイターに求められるものはどんなことでしょうか?
TikTokクリエイターは、ユーザーの目線に近いところにいる存在であり、日常的な場所であるタイムラインに溶け込むコンテンツを作ることに長けているという点が非常にユニークです。
今後、クリエイターに求められるのは、コメント欄でのやり取りやタイムラインに馴染む見せ方なども加味した、一方的ではない共創を踏まえたクリエイティビティをどれだけ発揮できるかということだと考えます。
広告クリエイティブは「共創の掛け算」の設計が重要
−−TikTok広告において重要なポイントとなるクリエイティブに焦点を当てた「Creative Category」が新たに新設されましたが、どのような広告キャンペーンに期待をされていますか?
クリエイティビティを発揮することでビジネスや社会にインパクトを与えたキャンペーンを表彰することは、非常によい試みだと思います。
デジタルでは、効率や最適化などが求められるのは当然ですが、クリエイティブはそれらをさらに超えていくもの。アートアンドサイエンスによって、コンテンツやキャンペーンの効果が増幅されなければいけません。そこが今のクリエイターの腕の見せ所です。
−−「Creative Category」にエントリーする上で、押さえておきたいポイントを教えてください。
どれだけ技術が進んでも、どれだけ新しい手法が生まれようとも、最終的には「人の気持ちをどう揺さぶるか」「人の心にどう響くか」という点は変わりません。
クリエイターの感性が、人々の心や欲望を掴むということは変わらないので、ブランドはTikTokクリエイターやユーザーとの「共創の掛け算」を設計することが非常に重要であり、それが今回の新しいアワードで期待されているところです。
「Creative Category」には、このような広告キャンペーンがエントリーされることを期待しています。
「TikTok for Business Japan Awards 2024 Creative Category」エントリー受付中
「TikTok for Business Japan Awards 2024 Creative Category」は、TikTok for Businessの広告メニューを活用して、2023年1月1日〜2023年12月31日に配信されたキャンペーンを対象とし、エントリーは広告代理店、広告主のいずれも可能となっています。
エントリーは「TikTok for Business Japan Awards 2024 Creative Category」サイト内の応募要項を確認の上、応募フォームに必要事項を入力してご応募ください。
https://tiktok-for-business-awards.jp/
応募方法に関するご質問等は、TikTok for Business Japan Awards 応募事務局(info@tiktok-for-business-awards.com)までお問い合わせください。
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