日テレ『葬送のフリーレン』ヒットを支えたTikTok広告。テレビとTikTokの相性の良さを立証

2024-01-19

コミックスの累計発行部数が既刊12巻までで1,700万部を超える大ヒットマンガ『葬送のフリーレン』。今、同作品がテレビアニメ化し大きな話題となっている。

初回は日本テレビ系列の金曜ロードショーで2時間スペシャルとして放送する同局初の試みで、コア視聴率は全局横並びトップとなった。

本記事では、この大ヒットの裏で行われていたTikTokを軸にした番組宣伝について、日本テレビとTikTok for Businessの担当者に取材。両社の話から、TikTokでターゲットにリーチする方法、TikTokライクなクリエイティブを作る方法が見えた。

 

※このインタビューはMarkeZineにて2024年1月10日に広告掲載したものです。

日テレ『葬送のフリーレン』ヒットを支えたTikTok広告。テレビとTikTokの相性の良さを立証

日本テレビがTikTokの活用に力を入れる理由

MarkeZine編集部(以下、MZ):日本テレビは、2023年3月に縦型ショートドラマ専用のTikTok公式アカウント「毎日はにかむ僕たちは。」を立ち上げるなど、TikTokでのコンテンツ発信に力を入れている印象があります。なぜTikTokの活用を推進しているのでしょうか。

井上:地上波テレビの視聴者数は年々減少傾向にあります。TVerや各種動画配信サービスを通じてテレビ番組を視聴する習慣も浸透しつつありますが、地上波テレビを見ない層にテレビ局のコンテンツをリーチする取り組みはまだまだ必要です。

その中でTikTokは、今一番テレビのコンテンツと相性の良いプラットフォームだと考えています。TikTokユーザーの多くはおすすめフィードをスワイプし、精度の高いレコメンドシステムを通じて自身の興味・関心に沿った動画を能動的に見ています。このコンテンツを最適な人・タイミングで届けられる仕組みが整っているところが素晴らしいと考えています。

社内での注目度は年々高まっており、番組のプロデューサーから「TikTokを活用したい」と相談を受けるケースも増えています。

日本テレビ放送網株式会社 コンテンツ戦略本部 コンテンツ戦略局 マーケティングコミュニケーション部(兼)総合編成センターメディア開発Div プロデューサー 井上 直也氏

 

MZTikTokとテレビコンテンツの相性が良い理由について、TikTok for Businessではどう考えていますか。

牛島:TikTokとテレビコンテンツの相性が良い前提には、TikTokユーザーの視聴態度があります。ユーザーは「おすすめ」フィードを見るとき、最新の流行りや新たに惹かれるものに出会いたいという気持ちで見ています。そういったモチベーションを持つユーザーにとって、テレビのプロコンテンツは非常にエンタメ性が高く、魅力的で注目する対象となります。

また、博報堂DYメディアパートナーズの調査では、テレビ番組の視聴率とTikTokに投稿されている番組関連動画の視聴数との相関関係について分析し、20代~40代の男女で曜日・時間帯を問わず相関が高いことがわかりました。そのため、メディアの皆様がTikTok公式アカウントや広告を通じて情報を発信していくことは効果的なのです。

TikTok for Business Global Business Solutions, Japan, Client Partner 牛島 秀豪氏

TikTokを長時間視聴し、ユーザーに求められるコンテンツを理解

MZ井上さんがTikTokを活用する際に気を付けている点はありますか。

井上:まず、自分たちが伝えたいことよりも、ユーザーが見たくなるコンテンツを作ることです。ユーザーが現在求めているコンテンツの傾向を探るために、十分に時間をかけてTikTokのコンテンツを視聴しています。

また、動画を企画・制作する場面では、スマートフォンでの視聴を想定して作業を進めています。テレビのコンテンツと違い、TikTokのコンテンツは常にBGMが流れながら映像コンテンツが展開されていきます。そのため音楽や効果音に合わせて動画が展開されるような編集を意識しています。

その他にも最初の2秒にフックを作る、時間当たりの情報量を高めに設定するなど、テレビとは異なるコンテンツ作りのポイントを取り入れています。

『葬送のフリーレン』の番組宣伝にTikTokを活用、その背景とは

MZ日本テレビでは、2023年秋に放送をスタートしたアニメ『葬送のフリーレン』の番組宣伝にTikTok広告を活用したと聞いています。その背景について教えてください。

井上:『葬送のフリーレン』のアニメが放送されることは、テレビCMを通じて告知していました。しかし、それだけではテレビを見ない層にリーチできないため、デジタル広告の活用を検討しました。

その中で、『葬送のフリーレン』の魅力や世界観をしっかりと伝えていくために、没入性が高く、主題歌を担当されるYOASOBIさんの楽曲との相性が良いTikTokで広告を展開することに決めました。

MZ具体的にはどのようなメニューを活用したのでしょうか。

井上:アプリ起動直後に表示される予約型広告の「TopView」と、imp/リーチ/フリークエンシーを予約できるインフィード型の動画広告「Reach & Frequency」を活用しました。

牛島:今回導入いただいた「TopView」は、起動したタイミングで音声オンの動画をフル画面で届けることができるのが最大のメリットです。ユーザーへ大きなインパクトを与えることができ、広告で訴求したい内容をしっかりと伝え、印象に残すことができます。

無料で横型動画を縦型動画に

MZ配信したクリエイティブに関しても教えてください。

井上:TikTokで広告展開を行うと決めた時点で、縦型動画のクリエイティブを使用すると決めていたのですが、横型の動画素材しかなく、新たに制作する必要がありました。

社内で制作することもできたのですが、TikTok for Businessでは横型動画を縦型動画に編集してくれるサービスがあり、制作編集費も出稿費用に含まれる(※期間限定)と聞いたため、今回はTikTok for Businessに動画制作をお願いしてみることにしました。

山本:今回、日本テレビさんには、2023年11月に正式ローンチしたTikTok Creative Exchange(以下、TTCX) というクリエイティブ制作を支援するサービスを活用いただきました。

同サービスでは、日本市場向けに4つのパッケージを用意しており、今回の取り組みでは既存動画をTikTokに適した動画に変換するRemix YokoTateを活用しました。

 

|日本市場向けの4つのパッケージ

  •  Net-New Standard:スタンダードなUGC縦型動画の制作
  •  Net-New Advanced:代理店向けの特別制作パッケージ(一定条件あり)
  •  Remix Standard:既存動画から複数のバリエーション動画を制作
  •  Remix YokoTate:既存動画をTikTokまたはPangleに適した動画に変換

 

TikTok for Business Creative Product Marketing and Partnership Manager 山本 優衣氏

 

井上:既存動画の変換に際しては、TikTokに最適なクリエイティブとなるよう、動画の冒頭では主人公のフリーレンの顔をアップで表示し、そこからYOASOBIさんの主題歌も活用してテンポの良い構成にしました。元々1分の動画素材でしたが、最終的には15秒にまで尺を短くしました。

 

既存動画で配信したクリエイティブ(左)とTTCXを活用した縦型クリエイティブ(右)

TikTokユーザーの約30%が番組を視聴 業界平均を大きく上回るパフォーマンス

MZ『葬送のフリーレン』に関する取り組みで得られた成果について教えてください。

井上:金曜ロードショーで放送した初回スペシャルのコア視聴率は全局横並びでトップになり、多くの方に見ていただくことができました。

牛島:今回は広告配信後に「『葬送のフリーレン』の番組を見ましたか?」と弊社でブランドリフト調査を行いました。その結果、調査に参加したTikTokユーザーの約30%が『葬送のフリーレン』の番組を見たことがわかっています。TikTokユーザーがテレビをリアルタイムで見ていることがわかったのは、私たちとしても大きな収穫でした。

また「『葬送のフリーレン』を知っていますか?」という質問も65%が知っていると回答しており、作品自体の認知向上にもつながりました。

加えて、業界平均と比較して「TopView」の完全視聴率が140%を超え、いいねやコメントが192%をマークするなど、高いパフォーマンスとなりました。

TikTokを活用した新たなテレビビジネスを構想

MZ最後に今回の取り組みで得られたことや学び、今後の展望について教えてください。

井上:今回の取り組みによって、TikTokのユーザーがテレビを見てくれていることがわかり、相性の良さを再認識しました。今後も色々な番組の広告宣伝にTikTokを活用したいと考えています。

また『毎日はにかむ僕たちは。』のような、TikTok上の番組を立ち上げ、TikTok内に第二のテレビ局のようなものを作れたらなと思っています。『毎日はにかむ僕たちは。』は現在、タイアップの獲得もできていますので、TikTokでのオリジナル番組には大きな可能性を感じていますね。

牛島:TikTokのテレビコンテンツとの相性の良さ、縦型クリエイティブの重要性に改めて気づけました。今後は『毎日はにかむ僕たちは。』のように、テレビ局様が運用するアカウントとの連携を強化し、タッグを組んで広告販売をしていくことができると両者にとってwin-winな関係が築けると思っています。

山本:私は、今回の日本テレビさんの事例が今後TikTok活用の進化につながっていくのではと感じています。TTCXを通じてクリエイティブ制作の事例が増え、ノウハウが蓄積されれば、他の広告主様にとっても、魅力的な広告媒体となっていくはずです。

TTCXのプログラムも今後さらに拡充し、広告パフォーマンスを向上させるだけでなく、ブランディングにも効くソリューションとしてアップデートしていきたいですね。

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