ショートドラマで売上前年比170%達成!ウテナ「マトメージュ 前髪グルー」のTikTok売れ戦略とは
スキンケア、ヘアケア用品の開発・製造・販売を手がける株式会社ウテナは、ロングセラーブランド「マトメージュ」の「前髪グルー」の認知拡大を目的に、TikTokでキャンペーンを実施しました。
株式会社デジタルガレージ、studio15株式会社との連携により、ショートドラマ仕立てのTikTokコンテンツを通じて商品を訴求したところ、ブランド認知、購入意向の向上だけでなく、売上も前年比170%を達成しました。
TikTokキャンペーン実施の背景から具体的な取り組みや成果まで、株式会社ウテナ 中島 恵司氏、株式会社デジタルガレージ 片桐 隆信氏、熊木 暁子氏、studio15株式会社 赤星 優衣氏、TikTok for Business Japan 牛田 万莉子が語り合いました。
TikTok for Business 牛田(以下、牛田):この度、TikTokでキャンペーンを実施した「マトメージュ 前髪グルー」の商品概要、ターゲットについてお聞かせください。
株式会社ウテナ 中島氏(以下、中島):弊社はお客様がセルフで購入できる化粧品を製造・販売しているメーカーで、スキンケア・ヘアケア用品を中心に取り扱っています。主にドラッグストア・GMS・スーパーマーケットなどで販売させていただいています。
まとめ髪用スタイリングシリーズ「マトメージュ」は、1996年発売のロングセラーブランドです。その追加品として2022年に発売したのが、今回TikTokキャンペーンを実施した「マトメージュ 前髪グルー」です。
この商品は、Z世代向けの新商品開発を目的に、若手社員を中心としたプロジェクトチームから生まれたアイデアでした。2018年当時、様々なアイデアを出し合う中、「前髪が崩れたら、この世の終わり」といった投稿をSNSで発見したことで、「いつの時代の女性も、前髪へのこだわりが強い」というインサイトが見えてきました。
「それなら前髪に特化し、究極の“崩れない前髪”専用のスタイリング剤を作ろう」ということになり、“前髪命”なZ世代の女性をターゲットにした「マトメージュ 前髪グルー」が誕生しました。
株式会社ウテナ 開発統括部 マーケティング部副部長 中島 恵司氏
牛田:デジタルガレージは、「マトメージュ 前髪グルー」の発売当初からプロモーションを手がけているそうですが、デジタルガレージでは主にどのような事業を行っていますか。
株式会社デジタルガレージ 片桐氏(以下、片桐):弊社は日本で初めて個人のホームページを作った会社で、日本にインターネットが普及し始めた当初から、欧米の新しいテクノロジーを日本に取り入れるなど、日本のインターネット業界の発展に尽力してきました。
マーケティング事業から決済事業、さらにはスタートアップ投資・育成事業など幅広い領域を手がけていますが、私たちはその中でも、コマースマーケティングの領域を担当しています。
株式会社デジタルガレージ コマースマーケティング本部 ソリューション開発部 エグゼクティブアカウントディレクター 片桐 隆信氏
牛田:今回のTikTokキャンペーンには、studio15が参加されていますが、studio15では主にどのような事業を行っていますか?
studio15株式会社 赤星氏(以下、赤星):弊社は広告代理店業とクリエイターの事務所という、両方の機能を持っています。広告代理店業では、コンテンツ制作からアカウント運用、クリエイターのキャスティング、タイアップのプランニング、広告運用まで一気通貫で実施できる体制が整っています。クリエイターの事務所としては、所属クリエイターのマネジメント、さらには、自社でTikTok公式アカウントの運営も行っています。
studio15株式会社 プロダクション事業部 赤星 優衣氏
ユーザーの共感を呼ぶためにTikTokを活用
牛田:今回、「マトメージュ 前髪グルー」のキャンペーンにTikTokを活用した理由や目的をお聞かせください。
中島:「マトメージュ」は1996年の発売以来、おかげさまで売上が右肩上がりで伸びています。これまでにもTikTok広告は活用しており、クリエイターが商品を紹介するPR動画をブーストする広告メニュー「Spark Ads」で拡散してきました。
その一方で、調査結果では、全年代での認知率は2割にも達しておらず、ブランド全体の認知度向上が重要な課題だと感じていました。そこで今回は、認知度と好意度を上げることを目的に、TikTokでのキャンペーンを実施しました。
TikTokは没入感が高く、「おすすめ」フィードに次々と自分の嗜好に合ったコンテンツが流れて来るため、潜在層にもアプローチできるところが非常に良いプラットフォームだと思っています。
片桐:「マトメージュ」ブランドの全体戦略をデジタルガレージが担当しており、「マトメージュ 前髪グルー」は発売当初からずっとプロモーションに携わっています。
「マトメージュ 前髪グルー」は、他に例を見ないほど新しい商品でしたので、まずは使い方の訴求からスタートしたところ、ユーザーが商品を面白がってくれて、SNSを中心に「どこまでいっても前髪が崩れない」といった内容がバズったりしました。今回は、そこからさらにもう一段認知を押し上げるということでしたので、TikTokの活用が最適だと考えました。
株式会社デジタルガレージ 熊木氏(以下、熊木):「マトメージュ 前髪グルー」はSNSの声が発端となり誕生した商品ですので、発売当初からSNSやデジタルプラットフォームを中心に、多くの共感の声をいただいていました。そのため、それらに寄せたプランニングをしようということになり、「商品の特徴を伝えながら、ユーザーの共感を呼ぶ」という目的を達成するためにもTikTokが最適でした。
株式会社デジタルガレージ コマースマーケティング本部 ソリューション開発部 リーダー 熊木 暁子氏
コメディータッチのショートドラマだから、自然な商品訴求を実現
牛田:最近、TikTokではショートドラマ系コンテンツの人気が高い傾向があります。そこも狙ったということでしょうか?
中島:2024年6月の「TikTok上半期トレンド大賞2024」で「ショートドラマ」が大賞に選ばれましたが、それより半年以上前から、今回のキャンペーンの企画をスタートしていました。まだ「ショートドラマ」の波が高まり始めた頃に、デジタルガレージからTikTokで「ショートドラマ」を活用したキャンペーンを提案されました。
それを受けて、自分自身もショートドラマ系コンテンツを視聴したところ、自然とドラマの世界に入り込み、気づけば最後まで見てしまうという実体験を得ることができました。「ショートドラマ」が売上につながるかはまだ未知数でしたが、TikTokのように新しい発見と出会えるプラットフォームでは、情緒的なアプローチが効果的ではないかと考え、ショートドラマ仕立てのコンテンツにチャレンジすることを決めました。
牛田:今回の広告クリエイティブはかなり注目を集めましたが、クリエイティブ制作において工夫した点、こだわった点があればお聞かせください。
赤星:ブランドや商品の認知拡大が目的でしたので、1本のドラマにどれだけ商品名やブランド名を自然に入れ込むことができるかという点にこだわりました。
今回は、弊社が運営するTikTok公式アカウント『ドラマみたいだ』を活用しました。商品名やブランド名を入れ込み過ぎるとPR色が強まるのではという懸念がありましたが、『ドラマみたいだ』がコメディータッチのクリエイティブを得意としているため、最後まで視聴するユーザーが多く、認知拡大に貢献できたと思っています。
中島:弊社からは、『ドラマみたいだ』のコンテンツの中でも最も反応が良く、実績のあるフォーマットを使用したいということと、ドラマ内で商品をしっかり露出させたいことを、事前にリクエストさせていただきました。
“犯人探し”のフォーマットでは、商品名をかなり多く入れ込んでいただきましたが、まったく違和感がなく、しかもかなり再生数が伸びていました。
クリエイティブにツッコミポイントを作ることで、ユーザー同士がコメント欄で盛り上がる
熊木:ドラマ内のセリフに対して、ユーザーがツッコミを入れているコメントがたくさんありましたが、そこを狙って、あえて突っ込ませるポイントをいくつか作っているのは、コンテンツ制作において多くの実績とノウハウを持つstudio15だからできたことだと思います。
赤星:弊社にはクリエイティブ制作に携わってきた社員が多く、クリエイターも多数在籍しているので、意見交換をしながら、クリエイターに近い目線でクリエイティブ制作ができていると思います。熊木さんが言われる突っ込ませるポイントも、ユーザーがコメントを盛り上げることを想定しながら取り入れています。
牛田:今回のTikTokのキャンペーンでは、どのような成果が得られましたか?
赤星:弊社のアカウント『ドラマみたいだ』にキャンペーン動画を投稿し、「Spark Ads」でブーストしたことによってCTRが高くなり、ウテナのサイトへかなり誘導できました。
中島:TikTok for Businessのブランドリフト調査では、ブランド想起、購入意向ともに高い結果が得られました。やはりクリエイティブの質の高さが結果につながったのだと思います。売上についても、キャンペーン開始後3ヶ月の実績が前年同月比170%を達成しましたが※、こちらも同様に、TikTokでの取り組みが寄与していると考えています。まさに「TikTok売れ」と言えるような事例になったことを嬉しく思います。
※キャンペーン実施月を含む、キャンペーン後3ヵ月の前年同月比
弊社のこれまでの動画より視聴数、いいね数ともに多く、視聴時間も非常に長いという結果が出ていますが、今回は特にコメントが大盛況で、6,000件以上のいいねがついたコメントもあり、クリエイティブの効果を大いに実感できました。
熊木:TikTokの特長の一つに、“クリエイターとの距離の近さ”があると思っていて、投稿動画自体がクリエイターとユーザーとのコミュニティになり、コメントの盛り上がりにつながったと感じています。
例えば、「前髪グルーの使い方が難しい」というコメントが入ったら、「こうやって塗ればうまくいくよ」とコメントを返すユーザーがいたり、「塗っても痒くなりませんか?」という質問には、別のユーザーが「全然大丈夫ですよ」と回答してくれたり。コメント欄でユーザー同士が自由にやりとりをしてくれるのは、TikTokならではだと思います。
牛田:確かにTikTokは、他のプラットフォームよりも投稿者と視聴ユーザーとの距離が近いと思います。誰でも気軽に投稿でき、人気者になれる可能性があるという親しみやすさがあるので、クリエイターが発信することを、視聴したユーザーが自分ごととして捉えてくれる傾向が見られます。
今回はクリエイターがドラマを通じて商品を説明していますが、それを自然に受け入れられたのはTikTokだからという理由も大きいのではないかと思います。
TikTok for Business Japan, Global Business Solutions, Performance Agency, Agency Partner 牛田 万莉子
立場を越えた自由闊達な議論が、良質なクリエイティブを生み、成果につながる
中島:今回初めてデジタルガレージ、studio15の2社と連携させていただきましたが、発注者と受注者という枠組みを超えて、自由にいろいろな意見が出せるパートナーのような関係性を構築していこうと考えていました。自由な議論から発想されたアイデアが良質なクリエイティブになり、結果につながったと思っています。
多少ラフすぎるように感じることでも、それが今の消費者に刺さることがあるので、固定観念を取り払って、お互いが対等な立場で自由に議論できる場を作っていかなければならないと考えています。
赤星:今回のキャンペーンでは、自由に意見を出すことができ、弊社の制作スタッフやクリエイターの意見をすんなり通していただけたので、弊社としては思った通りのクリエイティブを作ることができました。
片桐:様々な広告が溢れる中、消費者にどのようなアプローチが有効なのかを日々考えていますが、今回、ドラマの中に商品を入れ込むというアプローチが非常に高い効果を発揮し、弊社にとっても良いケーススタディになりました。
牛田:今後、どのようにTikTokを活用したいと考えていますか?また、TikTok for Businessへの要望はありますか?
赤星:今後も、クライアントのニーズに対して、最適なクリエイティブを制作し、広告メニューを活用していきたいと考えています。今回は、認知拡大に重点を置いて実施しましたが、ブランドリフト調査によって数値で見える成果が出せて良かったと思っています。
中島:社内で、広告やキャンペーンが売上につながったかを問われることが多いですが、弊社のように消費者に直接販売をしていない場合、広告が購買に結びついたかを検証したり、判断することはとても難しいのが現状です。
ブランドリフト調査のように広告やキャンペーンの効果が数値化されると、実施や継続の判断材料になります。そのため今後は、調査で取得できる項目の拡充や、より深層まで探ることができるようになると良いですね。
牛田:皆さんのお話を伺って、3社がそれぞれ異なる立場や役割だったにも関わらず、「マトメージュ 前髪グルー」という商品をもっと世間に広めたいという目標に一丸となって取り組まれていたから、自由闊達な意見が交わされ、実際にチャレンジし、成果につながったのだと感じました。
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