アップデートした「TikTok リード広告 」で新たな価値提供へ:始めやすさを強みにB to B商材への提案広げる
いかに効率よく、親和性の高い「リード(見込み顧客)」を獲得するか。
Webマーケティングにおいて重要なこの課題を解決するソリューションとして、TikTok for Businessは2021年5月より、「TikTokリード広告」を展開。さらに外部ツールとの連携も強化する形で、2022年9月にTikTokリード広告はアップデートした。
TikTokリード広告はアップデートで何がどう変わったのか。アップデート後に実施されたB to B広告を例に、TikTok for Business Japanのリード広告等新機能プロダクトの日本市場投入戦略担当である小野稜馬(おの・りょうま)氏、コンサルティング担当の中山駿(なかやま・しゅん)氏、セールス担当の吉尾祥生(よしお・さちお)氏に加え、今回紹介する事例の運用を担当した広告代理店CyberZの盛一大飛(もりとき・だいひ)氏に話を聞いた。
※このインタビューはDIGIDAYにて2023年3月20日に広告掲載したものです。
――まずTikTokリード広告とはどのようなものか、概要を聞かせてください。
小野稜馬(以下、小野):リード広告とは、見込み顧客を獲得したいクライアントが簡単にリード(見込み顧客)を獲得できる広告のことです。通常のWebコンバージョン広告は、クライアントが用意したLP(ランディングページ)などのWebサイトにいったん飛んで、そこでほしい情報を入力してもらうことになりますが、TikTokのリード広告ならすべてがアプリ上で完結できます。
アプリ上で表示された広告をタップすると、すぐにインスタントフォームが立ち上がり、ユーザーが電話番号やメールアドレス、そのほかの質問にパパッと入力して、送信するとサンクスメッセージが出る、というシンプルな流れになっています。たまたま目にした広告に興味をもったとしても、そこからいろんなところに飛んだり延々誘導されたりすると、煩わしくなりますよね。我々のリード広告は導線がとにかく簡潔なため、離脱を抑えられます。
小野 稜馬/TikTok for Business Japan、Product Solutions and Operations、Performance Product Marketing Manager。2019年からオーディエンスネットワークPangleの立ち上げ、オークションコア機能の日本市場投入戦略に従事。2021年より、TikTok for Businessのアプリ広告プロダクト日本市場責任者を担当。2022年7月より、リード広告やショッピング広告など新機能ソリューションの日本市場展開を行っている。 |
中山駿(以下、中山):通常広告とリード広告の違いがよくわかる事例として、昨年AIQ様がTikTokのキャスティング支援ツール「moribus(モリバス)」のプロモーションで実施された広告事例をご紹介しましょう。
はじめに、コンバージョンを目的とした通常のWebコンバージョン広告を配信されました。これはタップするとLPに飛び、そこで情報を入力してもらう仕組みです。次に、同等のクリエイティブを使ってリード広告を実施されたのですが、2週間ずつ配信した結果、通常広告と比較してリード広告のCVR(コンバージョン率)は200%以上アップ、CPA(獲得単価)は70%程度も抑えることができました。
この2つの施策は、LPに飛んでコンバージョンするか、アプリ上のフォームに入力するかの違いだけで、検証での配信金額も同等程度です。厳密ではないにしろ条件をそろえ、ABテストのような形で実施できたおかげで、我々もリード広告が日本でも自信をもっておすすめできるプロダクトになったことを強く確信しました。
――今回AIQさんは、なぜABテストのように2つの広告を実施されたのでしょう。
盛一大飛(以下、盛一):実は最初の段階で提案していたのは、通常のWebコンバージョン広告だけでした。想定していたコンバージョンに届かず、対策を中山さんと議論していたときに、改善策として出てきたのがリード広告だったのです。早速AIQ様に提案したところ、ほかプラットフォームでリード広告を実施された経験があり、スムーズに移行していただくことができました。思いがけずABテストのような形になったわけですが、満足のいく結果が出たことに、代理店としてホッとしています。
吉尾 祥生(以下、吉尾):今回リード広告で成功したAIQ様のmoribusは、B to Bの商材です。弊社はこれまでto C商材がメインでしたが、今回アップデートしたリード広告は、今まであまりお付き合いのなかった業界や商材へのご提案のきっかけになると思います。
弊社はアプリのイメージが強かったと思いますが、ここ1〜2年でアプリだけではなくWeb広告も大幅に伸び、案件の幅も格段に広がっています。少なくなってきていますが、TikTokではまだブルーオーシャンな業種を開拓していく足がけになると思うので、是非このタイミングを逃さず積極的にご提案いただきたいです。
吉尾 祥生/TikTok for Business Japan、Global Business Solutions, Partner Acceleration Sales, Agency Partner。人材をはじめとした新規営業に4年ほど従事したのち、広告代理店に転職。Web広告の運用と営業を3年ほど担当後、動画広告に可能性を感じ拡大に携わりたいという思いから2021年、TikTok for Business Japanに入社。現在は主に広告代理店担当の営業として、広告案件の拡大や新規開拓などをおこなっている。 |
――同等程度のクリエイティブとパフォーマンスに差が出たということですが、リード広告が成功したポイントはどこにあると思いますか?
中山:まず、離脱を最大限防げたこと。また、TikTokのプラットフォーム内で完結することで、Cookieレスなどの計測観点で影響を受けにくいこともポイントとして挙げられると思います。そのほか、インスタントフォームの内容にもこだわっていただきました。通常フォームに設定する質問は少ないほうがいいというのが定石ですが、今回は広告主のご希望もあり、質問数は多めでかなり踏み込んだ質問も入れました。踏み込んだ質問というのは、「社内において決裁権があるか」というような内容です。
盛一: 簡単な質問で得られる情報だけだと意味がないということで、思いきっていろいろ入れたわけですが、正直なところTikTokのユーザーに記入してもらえるかどうか、少し不安な部分はありました。しかしながら、結果的にCVRも改善できましたし、何よりマーケティングをするうえで大きな指標となる情報をお届けすることができたと思います。
AIQ株式会社:TikTokのキャスティング支援ツール「moribus(モリバス)」の事例
――リード広告は昨年アップデートされたということですが、改善点について、詳しく教えてください。
小野:アップデートしたポイントは2つあります。ひとつは「リードリストを柔軟に管理できるようになった」こと、もうひとつは「さまざまな外部ツールとの連携ができるようになった」ことです。
ひとつめが日本市場のための改善策にあたるわけですが、獲得したリード情報は本来、広告主が見るものです。ところが日本では代理店が運用を担当することが多いので、管理画面からリード情報に代理店側もアクセスできてしまうという問題があり、使いづらさがありました。この問題を解決するために、代理店が運用する管理画面からリード情報にアクセスできなくして、広告主だけがリード情報を見られるように変更したのです。つまり、「運用する代理店」と「リードを見る広告主」の棲み分けがうまくできるようになったということで、ようやく日本のニーズに応えられるプロダクトになりました。
次に「外部ツールとの連携」は、リードが発生したら自動的に外部のCRMツールに連携できるというものです。想定しているツールは現在3つで、セールスフォース(Salesforce)、ザピアー(Zapier)、そしてカスタムAPIです。カスタムAPIというのは、広告主が独自のCRMツールを使用している場合、事前に開発は必要ですが、我々のAPI経由で広告主のCRMツールに連携することができる、というものです。また、外部ツールを使用していない広告主は、TikTokビジネスセンター上でリード情報を管理できるので、いわば選択肢は4つあり、そのなかから自由に選んでいただけます。ちなみにAIQ様のケースでは、セールスフォースのCRMツール(Salesforce Sales Cloud)と連携しました。
――代理店の立場から見て、ほかのリード広告との違いや優位性はありましたか?
盛一:いちばんの違いは、作りやすさと始めやすさです。今回はもともと配信していた通常広告をリード広告に切り替える形だったので、LPのURLを管理画面上で入力すると自動的にフォームが作られるというベータ機能を使わせていただいたのですが、カスタマイズしやすく管理画面上の操作もスムーズだったので、ストレスなく進めることができました。なんでも初めて手がけるときは、プラットフォーム側とのやりとりが増えてしまうものですが、作業自体はあっという間。スピード感をいかんなく発揮できるプロダクトだと思いました。
小野:あの、僕がお聞きするのもなんですが……。URLを入れて、画像を追加して、という作業は実際にどれくらいかかりましたか?
盛一:どこに画像を入れるかなどの思考する時間と確認の時間を省くと、純粋に作業としてかかった時間は5分くらい、長くても10分あれば完成します。今後、ベストプラクティスができれば、もっと時間は短くなっていくと思います。
盛一 大飛/CyberZ、広告代理事業部 第2パフォーマンス本部2局 TikTokコンサルタント。2022年、CyberZに入社。現在、代理店事業部のTikTok for Business運用担当として、App案件を中心に携わりながら、Web案件の運用を担当。 |
――TikTokリード広告はB to B商材のほかに、どんな業種や商品に合うと思いますか?
吉尾:グローバルでは自動車業界や金融業界、それにクリニックの来店目的など、さまざまな業種でリード獲得を目的とするケースで活用されています。今回B to B商材で成功したことや海外での実績を考えると、日本でも自動車や不動産など比較的単価の高い商材やB to B商材の開拓にもつながっていくと考えています。また、すでにコンバージョン目的で利用されたことのあるクレジットカードなどの金融系のお客さまにも、ぜひ試してみていただきたいです。
中山: LPをイチから作ろうとすると時間がかかりますが、リード広告ならパッと作ってすぐに施策として使えるため、急ぎ案件に対応できるのも強みです。ほかプラットフォームも含め、リード広告をやったことのない広告主がたくさんいらっしゃると思います。たとえば、通常広告の配信前から同一クリエイティブでリード広告を準備しておいて、LPへ飛ばすパターンがうまくいかなくなったときに、並走させたり、切り替えたりというのも考えられます。
中山 駿/TikTok for Business Japan、Global Business Solutions, Client Solution, Client Solutions Manager。広告代理店のインターネット広告事業本部にて、チーフコンサルタントとしてSNS領域のデジタルマーケティング支援を担当したのち、2021年、TikTok for Business JapanにClient Solutions Managerとして入社。TikTok for Businessの広告運用のコンサルティング、事例創出や広告代理店に対するセミナーの実施などを担当。 |
――広告を出す側から見たメリットはよくわかりましたが、ユーザーから見た安全性の面はいかがでしょう。
小野:まずリード広告のターゲティングユーザーは18歳以上という規定があります。またクライアントにはフォームを作成するときにプライバシーポリシーのリンクを設定していただきますし、ユーザーにも同意を得てから入力した情報を送信していただくことになっています。我々も獲得したリードを90日間は保存しますが、それ以降は削除するなど、ユーザーのプライバシーを守るため、情報の取り扱いには細心の注意を払っています。
事前にメールアドレスや電話番号を登録しているユーザーの場合、フォームに自動入力されるのでユーザーの入力の手間がかかりません。そのほかの質問はユーザーが自主的に意思を持って入力し送信しています。ただし、それでもコンバージョンがいいということは、自主的に意思を持って入力しているユーザーが多いともいえます。
――最後に、今後の展望を聞かせてください。
盛一:まずは今回成功したB to B商材から提案を広げていきたいですね。そしてTikTokリード広告が利用される規模を大きくすると同時に、獲得できた見込み顧客の質の可視化も追っていきたいと思っています。単にリードがたくさん獲得できるというだけでなく、なぜいいのか、どういいのかという部分をスマートフォンに特化した代理店のバリューとして、コンサルティングの中山さんとも連携を取りながら進められたらと考えています。
中山:たとえば自動車の試乗会なら、現地に足を運んだかどうか、さらに最終的なコンバージョンである購入まで至ったかどうか。それが本当のリードクオリティだと考えています。今後はリードの質にもこだわった新しい機能をどんどん充実させていきます。
小野:中山が言うように、リードの質を向上させる「リードクオリティ最適化」という新機能を現在テスト中です。そのためクライアントとAPIやザピアで連携し、コンバージョンデータのなかから実際に来店した人のフラッグをタグとしてこちらに返してもらい、そのデータを我々が分析して機械学習させていく。それを繰り返していくことで、より本質的な最終成果に結びつく広告配信になることをめざしています。
吉尾:いまTikTokのユーザーは、ますます多様化し、広告の可能性もどんどん広がっています。さまざまな新機能もさらにスピード感をもって出ており、その中のひとつである今回アップデートしたリード広告を、新規・既存を問わず多くのクライアントに試していただくことを通して、新しい価値提供をしていきたいと思います。
Written by DIGIDAY Brand STUDIO(山本千尋)
Photo by 渡部幸和
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