TikTok広告で広告認知31.4%増!将来のエアコン購入層に向けたダイキンのコミュニケーション施策
縦型ショート動画ブームの火付け役となったTikTok。TikTokを通じて、若年層へのブランド認知向上に成功したのがダイキンだ。
同社は4組の人気TikTokクリエイターを起用した広告を展開し、ブランドリフト向上などの成果を上げたという。
今回はダイキン、クリエイティブスタジオのワンメディア、そしてTikTok for Businessの5人から、このコミュニケーション施策の詳細と成果について聞いた。
※この記事はMarkeZineにて2023年9月12日に広告掲載したものです。
若年層へのブランド認知拡大を狙ったダイキン
MarkeZine編集部(以下、MZ):ダイキン様が今回のTikTok広告施策を実施される前に抱えていた課題について、教えてください。
東(ダイキン):今回のターゲットである18~24歳の若年層において、当社の認知度は残念ながら低い状況です。なぜなら、ダイキンのメイン商材であるエアコンを若年層が自ら購入する機会が少なく、エアコンには興味がないため、たとえ広告が届いたとしても印象には残らないからです。そのため、身近な商材を持つ競合他社に比べて不利になってしまうことから、若年層に特化した施策を行う必要がありました。
ダイキン工業 総務部 広告宣伝グループ 東(ひがし)沙矢子氏:国内向けに、トリプルメディアを活用した統合型マーケティングコミュニケーションに従事。中でも、TikTokなどを活用した若年層へのブランド認知向上に取り組んでいる。
東:特に、今回の施策は単に社名認知だけではなく、「エアコンの会社」であることの認知を向上させる目的で実施しました。「ダイキン=エアコンの会社」という認知を獲得し、好意度を上げることで、彼らにダイキンを就職先として意識してもらうとともに、将来的にエアコンを購入してもらいたいと考えたのです。
“狙ってバズる”が難しい現実。オーガニックと広告の最適な使い分けとは
MZ:次にTikTok for Business様、ワンメディア様にうかがいます。昨今の企業から問い合わせの多い悩みを起点に、デジタルマーケティングの潮流を教えてください。
森(TikTok for Business):多くのクライアント様から「どのようにしたら、自分たちのメッセージを適切にユーザーに届けることができるのか?」といった相談を頂きます。つまり、自分達が発信するコンテンツをより多くのユーザーに拡散し、興味を持ってもらうことに課題を持っているクライアント様が多いのです。
TikTok for Business, Global Business Solutions, Japan, Brand Partnership Sales, Client Partner 森 篤史氏:主にテック系や通信キャリア系、家電系の企業をクライアントに、TikTok広告のセールスを行っている。
森:昨今では多くの企業がSNSなどで自社のオーガニックコンテンツの発信を行っていますが、いわゆる「バズらせる」ことを狙って起こすことは非常に難しいのが現実です。そのため、広告プラットフォームを活用してユーザーにコンテンツを届ける必要があります。
ユーザーの趣味・嗜好が多様化する中で、TikTokは独自のレコメンドシステムにより広告を含めたコンテンツを最適化してユーザーに届けます。そのため、TikTok for Businessの広告プラットフォームは、狙ったユーザー層にコンテンツを届ける上で非常に有効なソリューションだと考えています。
佐々木(ワンメディア):「バズを生む」ことよりも「ユーザーに行動してもらう設計」が、動画プラットフォームを活用したコミュニケーションでは重要になってきていると感じます。ただ視聴して拡散してもらうだけではなく、その後にコメントを書き込んだり、他のユーザーにシェアしてもらったり。そうした行動喚起がしやすいのもTikTokの特長ですから、企画も常にそのことを念頭に置きながら考えています。
ワンメディア ビジネスプロデューサー/マネージャー 佐々木 貴大氏:ダイキンの今回の取り組みにおいては、営業窓口やメディアプランニングの支援を担当した。
人気のTikTokクリエイターと共同制作!オリジナルコンテンツをプロデュース
MZ:今回のTikTok施策の内容について、詳しく教えてください。
東:独自の世界観で若年層から支持を集めている4組のTikTokクリエイター「イケメンズ(改名予定あり)」「そば湯」「たくみ」「考えすぎちゃう人」)と協業し、TikTok動画を制作しました。
動画の内容は、まず、同じくTikTokクリエイターの「東京ウーバーズ」のつじさんに当社のPR担当役を演じていただき、そして、つじさんが「ダイキンがエアコンの会社であることを伝えたい」という思いが執念となり、生霊化。4組のクリエイターたちに次々と憑依し、ダイキンのPRを行う──というストーリーです。
ダイキンのTikTok公式アカウントから、これら4本の動画投稿を行い、その続きのストーリーを各クリエイターのアカウントから投稿していただく、という導線作りを行いました。
ダイキン公式アカウントからの投稿動画(上)と、各クリエイターのアカウントからの投稿動画(下)
ブランドリフト向上に貢献!動画同士を回遊するTikTok広告の新たな仕掛け
MZ:今回の動画シリーズでは、TikTok広告の新たな手法が導入されているとうかがいました。
駒形(TikTok for Business):はい。手法は三つあり、一つ目が「インスタントページ」の活用です。これは、動画広告をクリックすると直ちに表示されるフルスクリーンWebページです。ブラウザに遷移するのではなく、TikTokアプリ内で完結し、かつ通常のWebページ(LP)よりも軽量なため、読み込み速度も速く、ユーザーの離脱を防ぐ効果があります。
TikTok for Business, Global Business Solutions, Japan, Client Solutions Manager 駒形 岳文 氏:主にテック系、家電系のクライアントにTikTok広告のプロダクトのプランニングやコンサルティングを行っている。
駒形:今回、「インスタントページ」内に動画サムネイルを埋め、関連動画の視聴を促すとともに、ページの誘導先に、ダイキン様のTikTok公式アカウントページを設定することで、他の動画シリーズを回遊できる導線が設計されています。1回の広告接触から、複数の動画コンテンツへの接触が可能となる構造であり、インスタントページの使い方として、弊社としても新しい活用方法となりました。
二つ目が、「6秒 Focused View」です。これは「広告を6秒以上視聴」もしくは「エンゲージメント」しやすいユーザーに対して、優先して広告を配信するターゲティング機能です。この機能はエンゲージメント率を高めることができます。
そして三つ目が、「ディスプレイカード」という動画にバナーを追加して表示するインタラクティブアドオン機能(※)のひとつです。今回は広告の左下に「続きはこちらから」というメッセージを配置してクリエイターのページへの遷移を促しました。ページに設置した他の動画シリーズもユーザーに見てもらったことがブランドリフトの一助になったと考えています。
※広告に用途に合わせた様々なインタラクティブ要素を追加することができる無料のアドオン機能。ディスプレイカードはその中の一つで、広告の左下に最適なタイミングでクリック可能な静止画像を表示し、特にトラフィックを向上させる。
広告認知は31.4%増!ブランド好意度もアップと高い成果に
MZ:ユーザーに魅力的な広告体験を提供するために工夫されたことを教えてください。
近藤(ワンメディア):まず、フォロワー数に囚われず、ユーザーエンゲージメントを最重要視しました。その次に、動画の投稿頻度とユーザーコメントの質を見てクリエイターを選定しています。TikTokのコメント欄は、ユーザー同士のコミュニティの場所として活発に活用されています。さらに、本施策は「ダイキンの自分ごと化」が課題だったので、ユーザーのライフスタイルに近い「#あるある」を軸にしたコンテンツ制作をしているかも選定基準となりました。
ワンメディア プランナー/マネージャー 近藤 望美 氏:今回のダイキンの施策では、企画提案からキャスティング、動画広告のクリエイティブ制作まで担った。
近藤:広告動画では、ユーザーが「そもそもなぜ、このクリエイターはこの企業とコラボしたのか?」と疑問に思い、結果、視聴を避けてしまっている──そう我々は仮説を立てているので、ユーザーの「なぜ」という違和感が離脱につながらないよう、意識しました。
そこで、今回は「“ダイキンはエアコンの会社であると伝えたい”という思いがあふれ、その結果、生霊化して様々なクリエイターに憑依してしまったダイキンのPR担当者の話」という前段の話も動画にすることで、ユーザーにエンターテインメントとして楽しんでもらいながら、ブランドメッセージが伝わる流れを作りました。
MZ:今回の施策の成果を教えてください。
佐々木:今回は、効果計測の項目として「広告認知」「理解」「ブランド想起」「好意度」の四つを設定しました。そして、いずれの項目においてもリフトアップを達成することができました。中でも、広告認知は31.4%増と非常に高い数値を示しましたが、ここまでのリフト幅は初めてのことです。また、「エアコンと聞いて⼀番に思い浮かべるブランドは?」と尋ねた時のブランド想起が9.0%増加したことも非常に良かったですね。
東:そうですね。当社の広告認知がここまで高まったことも初めてですが、それだけではなくダイキンがエアコンの会社なのだと多数の若年層に知っていただけたことが大きな成果だったと感じています。
MZ:今回の成功要因について教えてください。
森:今回の施策が成功した理由は、TikTokの広告機能を活用していただくことを前提にクリエイティブを作り込み、ユーザーとのコミュニケーションを非常に上手く設計された点が奏功したからだと思います。本件では「6秒 Focused View」で視聴率を高め、「ディスプレイカード」でユーザー導線を確保し「インスタントページ」で離脱を防ぎつつ、追加コンテンツを見せてユーザーの理解を促進することに成功しました。このようにTikTok広告独自の機能を戦略的に導入したことが、ユーザーの好意的な反応につながったのだと思います。
TikTokのインフィード広告はオーガニックコンテンツと同じ「おすすめフィード」にネイティブフォーマットで配信しています。今回のキャンペーンは視聴完了率が高く、BLSではブランド好意度もリフトしていました。これは、ユーザーが今回の広告をオーガニックコンテンツと同じ目線で「面白いコンテンツ」として楽しんでいただけたことを意味します。それらすべてが今回の成功につながったのだと思いますね。
エンターテインメント性のある発信を強化
MZ:今後の展望について聞かせてください。
東:私は、TikTokというプラットフォームは「発見の場所」だと考えています。つまり、知らなかった存在を知ってもらうのに親和性が高いということですね。今後も「広告だと知りつつも、思わず最後まで見てしまう動画」を作ると同時に、視聴することで自然とダイキンブランドを感じてもらえるようなクリエイティブを模索していきたいと思います。
佐々木:今後も、引き続きユーザーの目を引くようなコンテンツを作りながら、クライアント様の新しい顧客との接点を作るコミュニケーションを実施していきたいと思います。特に、TikTokは若年層に限らずユーザー数が増加しているため、今後は幅広い年代層に向けてアプローチする際にもぜひ活用してみたいですね。
近藤:我々ワンメディアの持ち味である「ターゲット層の生活に馴染むクリエイティブ」を作ること、そして「思わず人に話したくなる面白いクリエイティブ」をしっかりと提供していきたいと思います。
駒形:TikTokでは年々、機能面のアップデートのスピードがどんどん早くなっています。広告主様がそうした機能を導入することで、ユーザーの皆さんはTikTok独自の広告体験を得られます。クライアントの皆様には、それらの機能をぜひ積極的に使っていただきたいですね。
森:TikTokのユーザーとコンテンツが広がりを見せ、様々な広告機能もご提供可能になりました。これからもさらに広告主様のプロモーション課題に合わせた最適なソリューションを提供し、さらなる価値を広告主様と協力して生み出していければと思います。
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