“クリエイティブ”を武器にした、ワンメディア流のTikTok活用術。「Creative Category」受賞作品の裏側も公開!
TikTokマーケティングに特化したクリエイティブスタジオを立ち上げ、次々と話題のプロモーションを手掛けているワンメディア。
高いクリエイティブ力と企画力で、多くの実績を持つワンメディアが、なぜTikTokに可能性を感じ、どのように向き合っているのかについて、ワンメディア株式会社 取締役 余頃沙貴氏、マネージャー/プランナー 近藤望美氏、マネージャー/ビジネスプロデューサー 佐々木貴大氏にお話を伺いしました。
TikTokで新たなコミュニケーション方法を開拓
ーーTikTokに特化したクリエイティブスタジオの立ち上げ経緯、強みとは?
余頃氏(以下、余頃):ワンメディアは今年で創業10周年になりますが、TikTok広告の関連事業を開始したのは2021年。TikTokは、コンテンツのクリエイティブにパワーがあったり、戦略がしっかりしていれば、新規参入でも成果につながるというところに可能性を感じています。初めてTikTokを活用するクライアントやまだ認知が低い商材であっても、ユーザーの興味を集めて結果を出したということが多々あります。
ワンメディアはクリエイティブエージェンシーとして実績を積み上げてきました。TikTokの場合、「独自のクリエイティブとトレンドへの深い理解」を掛け合わせることで、私たちの強みが活かせると思いました。
佐々木氏(以下、佐々木):我々はTikTokクリエイターとのタイアップ、縦型の動画クリエイティブやエフェクトの制作、広告配信、TikTok内でユーザーを参加させ、拡散力を高める仕組みなどのサービスを提供しております。その中でも、特にブランド認知に貢献できる企画が得意です。弊社では、「TikTokを初めて活用する」クライアントが半数以上ですので、おそらく“初めてでも安心して任せられる”という安心感が特徴だと思います。
余頃:クリエイティブ制作や企画のプロセスにおいて、まず最初にTikTokのリサーチから入り、日常的に全員でリサーチをしています。弊社の行動指針に“発明よりも発見”という言葉がありますが、日々、クリエイターやユーザーが新しいものを発明しているので、広告やクリエイティブを作る私たちは、それらを発見しブランドとのつなげ方を考えることをプロセスの起点にしています。
弊社には動画のスタイルと広告との相性をまとめたフレームワークやマトリックスなど、知見を構造化したナレッジがあるので、それらを強化するようにしていますし、TikTok for Businessから定期的に公開されている白書やTipsもクライアント向け勉強会や提案の際にかなり活用しています。それから、TikTokが提供している広告ソリューションを積極的に取り入れるようにしています。
ーーTikTokに関して、クライアントからのよくある相談は?
佐々木:最初の頃は若年層向けのコミュニケーションに関するご相談が多くありましたが、今では、同程度のボリュームで主婦層や20〜30代も含めたご相談も増えています。最も多いのは、テレビCMでは情報が届きにくい層に向けたコミュニケーションです。テレビCMの素材をそのままTikTokで流すのではなく、TikTok用にクリエイティブをカスタマイズし、さらに企画をプラスしたいというご要望が多いですね。
クライアントによっては、TikTokはまだ若年層向けのプラットフォームだと捉えられているため、TikTokに関する勉強会を開催して、ユーザー層の広がりやコンテンツジャンルの多様化について共有しています。その成果もあり、TikTokは成熟したエンターテインメントプラットフォームだと認識していただけるようになりました。
余頃:最近では、従来の情報の届け方を見直し始めているクライアントが増えた印象があります。企業発信の手法に停滞感を感じているクライアントは、ユーザーやクリエイターが発信者となり、コンテンツを作り、そのコンテンツが拡散されるという情報の届け方に注力すべきではないかと考えているようで、そういったクライアントが、最初にTikTokを活用されていたり、弊社にTikTokを使った新しい取り組みを求めているように感じます。
新規顧客の獲得やユーザーとの新しいコミュニケーションを作っていく場合は、ユーザーインサイトを探るためにTikTokを情報源としたリサーチから始めています。
例えば、アース製薬さんの「モンダミン」のキャンペーンの場合、企画の際には「ユーザーはヘルスケアの一環としてオーラルケアをする」という仮説がありましたが、実際にTikTokの発話を調べてみると、特に若年層は「健康になりたいというよりも、他人からどう見られるかを気にしてオーラルケアをする」ということが明らかになりました。
私たちにとってTikTokは、単なるプラットフォームの1つというだけでなく、クリエイティブやキャンペーンの企画のコアを作るための役割を担っています。
ワンメディア流の成功メソッドとは
ここからは、さらに成功事例を踏まえて、以下のポイントについて伺っていきます。
- クリエイティブ制作
- クリエイターのキャスティングやディレクション
- 企画意図や広告メニューの活用戦略
1. ブランドが作った“傘”の下で、クリエイターに表現を“委ねる”
ーーTikTok広告やコンテンツを制作する上で、特にこだわっている点は?
近藤氏(以下、近藤):TikTokではクリエイティブがとても重要なので、まず、“個々のクリエイターらしさを生かす”こと。「TikTokのコメント欄がレビューや掲示板っぽくて良い」と評価されるように、TikTokはユーザー体験を可視化しやすいプラットフォームだと思います。私たちはコンテンツを通じて、クリエイターだけでなくブランドへの好意度を高めることを目指しているので、ブランドのプレースメントをどう置いていくかという点も重要視しています。
クリエイターが宣伝していることが直接商品購入につながっていると思われがちですが、そのベースとなる一番広い傘の部分がブランドなので、ブランドが広げた傘にクリエイターが上手く乗っかり、コンテンツを作っていくという仕組みを作ることが成功の鍵となります。そこで意識すべきことは、いかにブランドを浸透させることができるクリエイティブになっているかということです。
アース製薬さんのモンダミンの事例では、企画のコアになっているのは、アース製薬さんとクリエイターが共同制作した『恋するモンダミン』というミュージックビデオです。元々はクリエイターのなかねかな。さんがモンダミンのサウンドロゴ「お口、クチュ、クチュ。モンダミン」を活用した曲を自作され、それをきっかけに、お声がけした経緯があるので、なかねかな。さんのファンの方からは喜びの声が上がりました。また、この楽曲は他のクリエイターにも歌ってもらうチャレンジをしていただいたことで影響が拡がっていきました。
これこそ、ブランドが大きな傘を作り、クリエイターが自分たちの世界観にブランドのメッセージを入れ込んで発信し、ユーザーを巻き込むという流れが上手くできた事例です。
2. ユーザーからのコメントを呼ぶ、意外性を持たせたキャスティング
ーークリエイターのキャスティングで重視しているポイントは?
近藤:基本的には企画内容に最適なクリエイターをご提案するというフローで進めています。例えば、コスメの場合、美容系クリエイターの起用がわかりやすい文脈ですが、そこから少し外すことを意識しています。TikTokでは、様々なコミュニティが1つのプラットフォームにまとまっているので、コミュニティを活かしながら広げていくために、意外性を持たせながらしっかりとした文脈を作れるキャスティングをご提案できるよう心がけています。
余頃:広告の意図に沿いつつも意外性を作ることは、ファンからの発話につながります。各ジャンルの中にもさらに細分化されたコミュニティがあるので、そのコミュニティによって、文脈やコミュニケーション、発話も変わってきます。
クリエイターの良さを知った上で、キャスティングしているので、広告の意図からブレない範囲で、できるだけ得意分野をそのまま活かしてもらうようにしてます。そのために、私たちがディレクションをしていますが、弊社は長年、動画制作の事業を展開しているので、そのメソッドが活かされています。
例えば、ダイキンさんのお取り組みにおいても複数のクリエイターを起用することにチャレンジしました。
佐々木:また、クリエイターへのオリエンの際にかなり詳細な説明をしています。最初に方向性を合致させておけば、コンテを描いたり、動画を作る時にもお互いのイメージを合致させやすくなります。
近藤:制作フローでは、文字コンテの段階からクリエイターとやりとりをしていますが、ここも弊社ならではだと思います。最初に文字のコンテでクライアント、クリエイター、弊社が目線を合わせておくと後から相違が出ず、クリエイター自身も頭の中が整理されるので、通常よりもクリエイティブの質が上がる傾向も見られます。さらに、弊社との取り組みがきっかけで、クリエイターの通常の投稿が伸びたり、より見られやすいコンテンツに進化するということも起こっています。
余頃:クリエイターのマネジメントもやっており、クリエイティブが伸びるポイントについて知見があるため、クリエイティブを優先してキャスティングし、一緒に広告のメソッドを作っています。広告制作のプロである私たちと、ユーザーに刺さるポイントを熟知しているクリエイターとの相乗効果を生むためのディレクションをしています。
3. TikTok広告の組み合わせでタッチポイントの導線を設計し、多角的なコミュニケーションに
ーー全体設計や広告メニューの選定における戦略やその意図は?
近藤:クリエイティブ自体はもちろん重要視していますが、そのクリエイティブが広告として配信され、ユーザーが目にする時のことも考えています。
エンゲージメントをより高めることができるTikTok広告の拡張機能「インタラクティブアドオン」は、ユーザー体験として面白く、感覚的に遊べてテンションが上がるので、クリエイティブとの相乗効果が生まれることを意識して活用しています。
インタラクティブアドオン機能のうち、広告の左下から最適なタイミングでバナー画像が表示される「ディスプレイカード」で広告に動きを付ける場合、どんな広告体験がユーザーにとって気持ちいいかを想定しながらクリエイティブを作るようにしています。
モンダミンの事例では「イベントをやってほしい!」という声が上がることを想定していました。TikTokには、自作の歌を投稿したり、その音源を他のユーザーが「歌ってみた」と投稿するトレンドがあり、さらには「カラオケで歌ってみたい」などのコメントもたくさんあります。コンテンツを見るだけでなく、投稿やコメントするという流れができていたのでそこに着目しました。メジャーデビューもしているなかねかな。さんとコラボすることで、よりユーザーの行動につながるような設計を考え、オフラインイベントはポップアップイベントとしてカラオケを用意しました。
佐々木:イベントに関しては、ユーザーからのコメントから企画が生まれたので、結構新しい取り組みだと思います。なかねかな。さんもご自身のライブで歌ってくださり、実際に「お口、クチュ、クチュ。モンダミン」というコールが起こったり。さらには「TikTok for Business Japan Awards 2024」Creative Categoryにおける「Best TikTok Creator Collaboration部門」の部門賞にも選ばれることができ、改めて斬新な取り込みを実施できたことは今後につながる学びとなりました。
近藤:私たちは、ただクリエイターを活用するだけではない、TikTokでしか実現できない企画やクリエイティブを意識的に作ってきたので、それが評価されたことが嬉しかったです。
佐々木:成果に繋がった弊社としても自信のあるキャンペーンをエントリーしていたので、ノミネートされたこと自体嬉しかったですし、クライアントのビジネスに貢献できたことが実感できました。
クライアントにとって価値があるものを、広告の企画として表現するだけでなく、価値を言語化し、どのようなビジネスインパクトを生んだかというところを証明するところまでが、私たちの役割だと思っています。その証明をアワードという形で数値化されて良かったです。
勝ちパターンなら初めてのTikTok活用でも結果を出せる
ーー今後はどのようにTikTokを活用したいとお考えですか?
佐々木:今、一番活用したいのは、フィード内の上位トレンドコンテンツの直後に広告を配置する「TikTok Pulse」です。弊社は良質な広告を提供できるので、良質なコンテンツとの組み合わせによってどのような効果が生まれるのかが気になります。
※日本では現在β版テスト中。正式ローンチ時期未定。
近藤:「インタラクティブアドオン」はTikTokならではの機能ですし、ただ見るだけではなく、ユーザーが楽しいと感じる体験を組み込めるので活用していくべきだなと思っています。
「インスタントページ」は、これまでハードルが高かったランディングページを簡単に作れて、情報の集約や商品への導線もでき、しかもクオリティが高いので今後も活かしていきたいです。
個人的に好きなのが「スーパーライク」。いい流れだなと思うのが、タップするといきなり広告バナーが表示されるのではなく、その前にハートと一緒にロゴやパッケージが出てくるところです。自分が好きになった瞬間にブランドがハートで“ありがとう”というメッセージを返してくれたような感覚になり、ユーザーとブランドとのコミュニケーションが生まれているからです。そういう体験を活かしていきたいですね。
佐々木:より強く印象付けるためには複数の広告に接触してほしいので、複数のクリエイティブに接触させるためにも「スーパーライク」は効果的。いいねを押したら、他のクリエイターの動画が見れるので回遊性が高まります。
弊社には、TikTokの機能を活用したり、組み合わせることによる勝ちパターンがいくつかありますので、ブランドリフトを上げたいなど、あらゆる目的に応じた提案ができます。
ただ最近、クラアントによっては、「TikTokに詳しくないので、ワンメディアには相談しづらい」という声もあり、そこが悩みです。実際は、初めてTikTok活用に取り組むクライアントが大半ですので、気軽にご相談していただければと思います。
余頃:ワンメディアの強みを活かしながら、コミュニケーションをより良いものにしていくという視点では、お題を提示してユーザーから動画を募る「ブランドミッション」をもっと活用したいと思っています。
弊社の広告コミュニケーションでは、まず火付け役のコンテンツがあり、その文脈を強化してくれるクリエイターがいて、自主的に拡散するユーザーがいるという構造が成果につながっています。TikTokの場合、ユーザーの動画投稿だけでなく、いいねやコメントでのユーザー参加によってリーチの総量を作ってくれるというモデルになっています。単純にクライアントの動画だけでリーチを稼ぐというより、ユーザーに参加してもらうことでリーチを広げていくというプロモーションは、これまでもかなり成功しています。
そういう面で、「ブランドミッション」は、革新的な広告メニューであり、もっと取り入れたいですね。
今後も引き続き、新機能もすぐに取り入れることができそうならチャレンジし、試行錯誤を重ねていきたいと思います。
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