TikTokがもつカルチャーエンジンの力を解き明かす

2024-12-03

ユーザーが拡大し、様々な分野におけるプロモーションの場として存在感を増すTikTokだが、広告メディアとしての優位性はどこにあるのかその本当の価値を理解している人はまだ多くない。

CMOや経営層がマーケティング戦略を立てる上でヒントとなる、TikTokがブランドにもたらす真の価値について、2024年4月にTikTok for Business JapanのGlobal Business Solutions 副社長に就任したArjun Sarwal(アージュン・サーワル)氏に聞いた。

 

※このインタビューは日経クロストレンドにて2024年11月29日に広告掲載したものです。

TikTokがもつカルチャーエンジンの力を解き明かす

TikTok for Business Japan Global Business Solutions 副社長 Arjun Sarwal氏

 

――現職に就く前はSEA地域ビジネスの責任者を務めていたそうですが、SEA、APAC、そして日本におけるデジタルマーケティングのトレンド変化をどのように見ていますか?

アージュン・サーワル(以下、サーワル)デジタルマーケティングのトレンド変化としては、どの地域においてもコンテンツ主導の時代に移行している点が挙げられます。

調査においても、多くのCMO(Chief Marketing Officer/最高マーケティング責任者)が、単なる広告だけでなくカルチャー、コンテンツ、エンターテインメントを通じた、新しい方法でターゲットオーディエンスとのつながりを深めていくことを重要としていることがわかりました。

*出典:電通「CMO調査レポート2024」

TikTokが第三者機関に委託して制作した調査レポート「ショッパーテインメント白書2024」では、3つの消費者の変化について着目しています。

1つ目は、コンテンツ主導の「カルチャーコミュニティー」が出現していること。消費者の73%は、ハッシュタグやコメントなど、さまざまな方法でコンテンツを共創し、コンテンツを通じて消費者同士がつながっているのです。

2つ目のキーワードは「共感」。消費者の79%は、割引や機能的な価値よりも、商品の本当の価値を明らかにするコンテンツに影響を受けています。商品レビューやデモンストレーションなど、教育的な情報や、インスピレーションを与えるもの、エンターテインメントとしての感情的なインパクトを提供するコンテンツを求めています。消費者の関心は、ますます「価格やプロモーション」から「価値」へとシフトしています。

3つ目は「体験型ブランド」です。消費者の81%は、購入する前にプラットフォームが包括的なブランドや商品情報を提供することを期待しています。消費者は本物の体験を求めており、また消費者の認識を形作る上でクリエイターが貴重な役割を果たしています。

このような状況のなかで、TikTokによって人々のつながりやコミュニティー形成が加速し、トレンドが生まれ、そして文化へと定着していくのです。TikTokはまさに文化を生み出す「カルチャーエンジン」であり、消費を生むエンジンとなっています。日本では「TikTok売れ」という言葉が知られていますが、英語でも「TikTok Made Me Buy It」というフレーズが生まれています。

例えば、「Cucumber Guy」のニックネームで知られるカナダのTikTokクリエイターがキュウリを使った様々なレシピを紹介しているのですが、2024年8月に投稿された1つの動画だけでも4200万回以上再生されるなど彼の動画の人気が急上昇した結果、世界各地でキュウリが品薄になっています。

 

――企業のマーケティングはどのように変化していると考えますか?

サーワル3つの視点が挙げられます。

1つ目は、ブランド主導のマーケティングがクリエイターマーケティングで補完される点です。消費者に対してメッセージを発信する際、クリエイターを通してコミュニケーションを取るというマーケティング手法が盛んになっています。

2点目は、デジタルプラットフォームがテレビ広告を補完する役割をますます担っていること。

そして3点目としてはブランディングとパフォーマンスの境界が曖昧になり、商品やサービスの認知から購入、継続利用までフルファネルマーケティングのアプローチに注目が集まっています。

 

――その中で、TikTokの強みはどこにあると考えていますか?

サーワル:TikTokは、クリエイターやブランドと共にカルチャーを創造するコミュニティーを築く、まさにカルチャーコンテンツのエンジンといえます。従来のプラットフォームとは異なり、TikTokはユーザー(主にコンテンツを見て楽しむ人)、クリエイター(主に動画を積極的に投稿する人)、企業の間をエンターテインメント性の高いコンテンツでつなぎ、互いのクリエイティビティーに共感するコミュニティーを形成しています。

TikTokの最大の強みのひとつは「ダイバーシティー(多様性)」です。TikTokは若年層から購買力のある中高年層まで幅広い世代が利用しており、その影響力はトレンドの発信源になるほど。日本ではTikTokとTikTok Liteを合わせて毎月3300万人以上のユーザーが利用しており、TikTok Liteは動画視聴などのミッションをクリアすることでポイントがためられるリワード機能も備え、より幅広い年齢層に親しまれています。

また、ユーザーが毎日映画約1本分の時間をTikTokで過ごしているなどエンゲージメント率も高い。第三者機関に委託して実施したTikTok視聴時の脳波計測調査によると、TikTokではコンテンツから広告に推移しても好意度は約6割を維持しており、広告であってもコンテンツ同様、好意的に見られていることが分かりました。また興味度は、動画視聴前よりも動画視聴時の方が上昇していました。

*出典:data.aiデータ(ios&Android)2023年12月時点

TikTokではコンテンツから広告推移しても好意度は変わらず、興味度は上昇

 

さらに、調査によると、TikTokユーザーの19%はあまりテレビを見ない層のため、テレビ広告を補完する役割を担う点も挙げられます。つまりTikTokは、テレビでは届きにくいユーザーにリーチできるという利点があります。

*出典:GWI Japan Q1 2023 – Q4 2023. (‘TV’ – linear or broadcast)

Kantarの調査によると、テレビと他のプラットフォームを併用した広告キャンペーンを行った際、TikTokは他のプラットフォームよりもブランドリフト効果が高く、予算の1%あたりのブランドリフト効果は認知度で2.8倍、ブランド連想で2.5倍、購入意欲で7.8倍という高い結果が得られています。

*出典:Kantar「TikTok Marketing Science, クロスメディアメタ分析APAC, 2024」

このような強みは、ブランドにとって次の3つの大きな機会を提供します。

1つ目は、ユーザーインサイトのリアルタイムを把握することです。

TikTokでは、ユーザーが積極的に投稿やコメントを行うため、企業はリアルタイムでターゲット層のトレンドを把握できます。インサイトも従来であれば調査が必要でしたが、TikTok for Business上で容易に取得することが可能です。この目的でTikTok広告を活用している企業も増加しています。

2つ目は、パーソナライズされたコンテンツによるエンゲージメント効果を最大化すること

従来の媒体のように単一のコンテンツをすべてのオーディエンスに向けて発信するのではなく、TikTokの「おすすめ」フィードによるパーソナライズされたコンテンツを視聴しているユーザーに、より関心が高い企業の広告を届けることができます。これにより、広告もエンターテインメントの一部として自然に受け入れられ、企業とユーザーが能動的につながることが可能です。

3つ目は、TikTokのシーズナルトレンドとブランドモーメントの相乗効果です。

TikTokでは、新生活、母の日、お盆、年末年始などのシーズナルイベントにあわせて投稿、視聴、コメントが増加するため、ブランドはこれらのタイミングで新商品発表や販促キャンペーンを行うと、シーズナルトレンドとの相乗効果でより注目を集め、キャンペーン効果が高まります。

このように、TikTokは単なるプラットフォームの枠を超え、ブランドが消費者とエンゲージメントを深め、トレンドを創出するための重要な場となっています。

フルファネルで影響を与える点も大きな特徴です。TikTokでは認知といったブランド広告の領域から、購入の部分まで全てにおいてカバーしています。

例えば、セブン&アイ・ホールディングスは、プライベートブランド「セブンプレミアム」で展開する「金のマルゲリータ」のリニューアルに合わせてフルファネルにアプローチする施策を展開。販促施策導入後のROAS(広告の費用対効果)が1000%を超え、商品売り上げにも一定の貢献を果たしました。

 

TikTokでの広告効果は広く知られるようになった一方、人気を集めるコンテンツのトレンドの移り変わりが早いことから、TikTokにてどのような広告キャンペーンを行えばよいのかと悩む企業があるのも事実だ。サワール氏は、そんな企業に向けたサポート体制にも力を注いでいると語る。

 

――今後どのような領域、プロジェクトに注力しようと考えていますか?

サーワル日本は、私たちにとって重要な市場です。将来的にはクリエイティブ、広告ソリューション、そして計測改善の3つの分野で、広告主や代理店の真のビジネスパートナーとなることに取り組んでいきたいと考えています。

我々は、常に革新し続けるテックカンパニーです。クリエイティブや広告ソリューションに関しては、テクノロジーを活用したイノベーションに取り組んでいます。最近は「TikTok One」という新たなプロダクトを発表しました。これは、クリエイティブに関するソリューションをワンストップで提供するクリエイティブプラットフォームで、様々なサービスを利用いただけます。(日本では現在テストローンチ中)

例えば、広告主側が「何かアイデアが欲しい」といった場合には、AI(人工知能)を活用したバーチャルアシスタント「TikTok Symphony Assistant」が、TikTok広告に特化したクリエイティブに関する豊富な知識からアイデアやベストプラクティスなどを提案します。TikTokクリエイターに広告動画作成を依頼したいという場合には、「TikTok Creative Challenge」(TTCC)を活用することも可能です。

計測に関しても、「TEE(Trusted Execution Environment)」を活用したソリューションを提供しています。これは、TikTok内で得られるデータと、広告主が持つデータを組み合わせて、効果計測を行えるというものです。もちろん、双方のデータの保護に配慮しています。

 

――日本のマーケットに合わせた施策は考えていますか?

サーワル日本の広告市場において、代理店は非常に重要な役割を担っており、代理店との強固な協力関係を築くことが不可欠です。このパートナーシップをサポートするために、我々は代理店向けのトレーニングや、ツールの提供、データやインサイトの共有など、さまざまな取り組みを行っています。

さらに、「TikTokマーケティングパートナー」プログラムでは、TikTokの専門知識を持つパートナー企業をグローバルで認定しています。日本市場においては、サイバーエージェント様が日本で初めてTikTokの認定エージェンシーバッジを取得されました。

この取り組みを通じて、我々は次の目標を掲げています。

  • 広告主および代理店とのパートナーシップを強化すること

  • 「local first, globally supported」のアプローチにより、日本市場で最も信頼されるテクノロジーパートナーを目指すこと

  • ブランドがTikTokのクリエイティブ、測定、オーディエンスツールやインサイトを活用して、フルファネルのビジネスインパクトを実現できるよう支援すること

こうした取り組みにより、TikTokは日本市場におけるプレゼンスをさらに強化し、ブランドがプラットフォーム上でより深いエンゲージメントと測定可能な成果を達成できるよう支援しています。

 

――このほか、TikTok広告において注目している分野や強化していきたいポイントはありますか?

サーワルここ数年、日本ではEコマース、D2C、ビューティー、ヘルスケア、食品・飲料といった業種がTikTok上で強力に成長し、勢いを保ち続けています。23年は自動車、旅行、人材サービス、ヘルスケア美容も顕著な伸び率を見せました。また、金融サービスは一見難しい商品ですが、23年と比較して消費が200%以上増加しています。24年、TikTok for Businessでは旅行、自動車、リクルート&教育、医療、食品&飲料を中心に力を入れています。

TikTokはコンテンツの創造と相互のつながりを促し、喜びをもたらすカルチャーエンジンです。TikTokを活用することで、ブランドはカルチャーの一部となり、顧客とのより強固な関係を築くことができます。私たちは、コミュニティーに喜びをもたらすための最良のビジネス・マーケティングパートナーになることを目指しています。

TikTok for Businessのプロダクトをもっと知りたい方、広告・プロモーションに興味をお持ちの方は、
TikTok for Businessへお問い合わせください。