メディキュットがフルファネル戦略でTikTok売れ

2024-12-23

ECサイトでの検索ボリュームが50%アップし、売り上げはオンラインのみならず店頭でもアップ――。TikTokにて行われた、着圧ソックスのブランド「メディキュット」のキャンペーンが大きな成果を上げた。

「TikTok売れ」につながった成功要因がどこにあったのか。メディキュットを展開するレキットベンキーザー・ジャパンの大谷真輝人氏、キャンペーンをサポートしたSepteni Japanの安藤龍之介氏、そしてTikTok for Business Japanの楊洋氏に話を聞いた。

※このインタビューは日経クロストレンドにて2024年12月18日に広告掲載したものです。

メディキュットがフルファネル戦略でTikTok売れ

左からSepteni Japan 安藤龍之介氏、レキットベンキーザー・ジャパン 大谷真輝人氏、TikTok for Business Japan 楊洋氏

 

段階圧力ソックス「メディキュット」を展開するレキットベンキーザー・ジャパンは、2024年6月からTikTokでのキャンペーンを実施した。同社はこれまで、アンバサダーを起用したテレビCMを中心にSNSを連動させた広告を展開していたが、TikTokの活用は初だった。その背景には、大きく3つの課題があったという。 

大谷真輝人(以下、大谷):1つ目の課題は、「認知の質のアップデート」です。アンケートを行ったところ、過去にご登場いただいたアンバサダーさんのイメージや印象が非常に強く、ブランド認知がそこからアップデートされていない方もいるとわかったんです。

2つ目の課題は、「若年層へのリーチ」です。メディキュットは、着圧ソックスを履く習慣を提案するブランド。エントリーとなる若い世代の方々に使っていただき、年を重ねるごとにご自身のニーズにあった商品を選んでいただくことが重要です。この世代へのアプローチには、TikTokを優先すべきだと考えました。

3つ目の課題は「使⽤シーンの提案」です。メディキュットは、商品名を聞いただけでは、「いつ、どんな目的で履いたらいいのか」が分かりにくいのも事実です。使用シーンを提案したいと考えた際に、常に新しいコンテンツが供給されて表現の幅が大きいTikTokは、クリエイティブの面でもマッチすると考えました。

弊社の海外グループ会社ではTikTokを活用した先進的な成功事例が数多くあり、「なぜ日本はTikTokを使わないのか」という指摘もありました。そういった面でも、「TikTokに挑戦しない手はない」という機運になっていましたね。

レキットベンキーザー・ジャパン マーケティング デジタルE2Eマーケティング マネージャー 大谷真輝人氏

 

課題解決のためにTikTok for BusinessSepteni Japan(セプテーニ)が提案したのは、複数の広告動画を適切な時期に投下するフルファネルでの展開だった。

楊洋(以下、楊)日本では現在、TikTokTikTok Liteを合わせて、毎月3300万人以上の方々にご利用いただいており、TikTok広告は、より幅広いユーザー層にリーチできる広告プラットフォームへと成長しています。今回の施策では、メディキュットの認知を向上させるとともに、売り上げをあげるミッションもありました。そこで提案させていただいたのが、フルファネルのスキームを活⽤したプランニングです。

今回、選んだメニューは、認知においてもっともインパクトのある広告枠の「TopView」、コンテンツの合間に配信される「インフィード広告」、そして日本では現在β版テスト中の広告ソリューションである「TikTok Pulse」の3つです。

TikTok Pulseは、TikTokで配信されている動画の上位4%に入る人気トレンドコンテンツの直後に広告を表⽰するというものです。まだ新しいプロダクトだったため広告主様にとってはチャレンジングな選択だったかと思いますが、ユーザーが動画を楽しんでいる非常に良い視聴環境のなかで広告を提供できますので、ターゲット層にリーチしたうえで態度変容を起こすことを期待してご活用いただきました。

TikTok for Business Japan Global Business Solutions, Strategic Accounts, Client Solutions Manager, Home and Personal Care 楊洋氏

 

大谷:今回のキャンペーンは、eコマースで行ったセールのタイミングでヤマを作りたいと考えました。そこで、まずインフィード広告やTikTok Pulseでメディキュットの認知獲得や、使用シーンを伝える広告を配信した後、TopViewを活用してセールを訴求する広告を配信し、トラフィックの最大化を図りました。

このTopViewの活用方法は、これまでにあまりないものでした。TopViewはユーザーがアプリを立ちあげると表示される広告で、広い認知獲得を目的にキャンペーンのスタート時に活用するのが一般的です。メディキュットの場合、元々認知度は高く、今回は認知の質のアップデートが目的だったので、最初ではなくセール時にTopViewで購入につなげるクリエイティブを配信しました。

キャンペーンの全体像:インフィード広告やTikTok Pulseによる認知獲得と理解促進を図った後、TopViewを活用して購入意欲を喚起した

 

今回のキャンペーンでは実に50種にも及ぶクリエイティブを制作したという。それは、適切な時期に、適切な広告メニューを活用して、適切なクリエイティブを投入するためだ。

大谷:我々が制作したブランド広告の基本となる広告は大きく3種ですが、それを編集したり、なにかを付け加えたりといった細かな調整をしていただいて、最終的には50本くらいになりました。

安藤龍之介氏(以下、安藤):まず意識したポイントは、配信目的ごとに最適なクリエイティブを制作する点です。例えば、メディキュットの理解を促すミドルファネルのメニューでは、主人公がメディキュットを使って悩みを解決していく様子をかわいくポップに描きつつ、1分程度の長尺のストーリーでしっかりと見せました。

また、若年層から共感を得られる多様なジャンルのTikTokクリエイターを複数組起用し、よりユーザーに近い目線から様々な利用シーンや商品の魅力を伝えていただきました。購⼊意向を高めることが⽬的のローワーファネルのメニューに関しては、長尺動画のうちに商品の訴求部分をメインに据えた15秒を切り出したカットダウンバージョンを制作しました。

ブランド広告(左)や、クリエイター動画(中央・右)のクリエイティブ例。様々な利用シーンを訴求し、商品理解、購入意欲向上につなげた

 

そして、TopViewでは、スマートフォンを振るとエフェクトが発生する「シェイクサプライズ」や「いいね」を押すとオリジナルのアイコンが画面に表示される「スーパーライク」という2つのインタラクティブアドオン機能を使用するなど、インパクトを強く残すような工夫を加えました。このように、ユーザーに促したい行動によって最も適切なコミュニケーションを図ることを意識しました。

Septeni Japan 第二営業本部 第一営業部 パフォーマンスリード 安藤龍之介氏

 

TikTokでの態度変容は、約7割がクリエイティブの影響というデータがあります※。セプテーニさんが制作されるクリエイティブは本当にすばらしく、初見の時点で今回のキャンペーンは成功すると確信しました。

※出典:KantarTikTok Marketing Science, ブランドリフト調査メタ分析, 日本,2022

大谷:基本的には今、TikTokで流行っているショートドラマ風の作りで、ユーザーが楽しんでいるコンテンツとの差分がなく、受け入れやすい作りなのです。そして、気が利いている。ユーザーを飽きさせない展開のなかで、商品が違和感なく入ってくる構成です。

安藤やはりターゲットに共感してもらうというところを1番意識しており、ターゲットが「ある、ある!」と思うような悩みを軸にストーリーを展開し、キャスティングから衣装、言い回しの細かい部分にまでこだわりました。またTikTokでは最初の数秒で興味を持ってもらうことも大切なポイントなので、ハイライト(結論)から入って興味を引き、視聴継続につなげることも意識しました。

セプテーニさんにご提案いただいた、セール時のランディングページ(LP)も非常に有効でした。

安藤以前は配信広告によってリンク先をAmazonと楽天で分けており、広告動画をクリックすると、Amazonもしくは楽天の商品購入ページに直接遷移する形でした。例えば、Amazonをメインで使用するユーザーに対して楽天に遷移する広告が表示されるなど、購買の機会損失の可能性がありました。そこで今回は、ECサイトに遷移する前に、Amazon・楽天への遷移ボタンをそれぞれ設置したLPを挟みこみ、ユーザーが自分で購買先を選択できるようにしました。LPでは商品の詳細も掲載し、商品理解を深められるように設計しました。

 

これらの策が功を奏し、セール時の売り上げは好調な結果を残した。またブランドリフト調査でも高い数値につながったという。

大谷:まず目に見えた効果として挙げられるのが、オンライン、そしてオフラインでも売り上げとしても2ケタ後半のドライブがあった点です。大手のECサイトでの「メディキュット」の指名検索量も広告を実施していない期間と比較して50%ほど上がりました。検索量が増えるということは、「メディキュットが欲しい」と考えるお客様がそれだけ増えたということ。売り上げももちろんですが、認知の質のアップデートというチャレンジにおいても、大きな一歩であったと考えています。

弊社でもブランドリフト調査を行わせていただいたところ、広告認知は+8.1%、ブランド想起は+8.5%、好意度は+4.2%という非常に良い結果が出ました。ですので、今回のキャンペーンは、しっかりと態度変容起こした施策になったと思います。

大谷:繰り返しになってしまいますけれど、やはりクリエイティブは1つのコンセプトで作りつつも、ファネルごとに最適な形にしてカスタマイズし、展開したのが1番の成功要因だったと思います。

今回のキャンペーンを通じて、TikTokはユーザーの目が集まりやすいプラットフォームであり、ユーザーの質が非常に高く、また様々な施策をチャレンジしやすいと感じました。ヴィート、ミューズといった弊社の他のブランドでも、今回の施策のラーニングを生かしていきたいと考えています。

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