人口108万人の山形県唯一のBMWディーラーが、フォロワー数日本一の販売店アカウントになる必然【BMWのオネーサンインタビュー】
初心者にも簡単な操作方法とわかりやすいUIで、ユーザー誰もがクリエイターになれるTikTok。
フォロワー数が多く知名度の高いインフルエンサーでなくても、コンテンツ次第で一夜にして拡散する可能性を秘めています。そんな中でも現在人気沸騰中のイチオシクリエイターをインタビュー!
今回は、TikTokフォロワー数日本一の販売店アカウントである、人口108万人の山形県唯一のBMWディーラー「BMWのオネーサン」さんをご紹介します。
※本記事は、TikTok Japan【公式】noteの掲載記事を転載(一部最新の情報に加筆修正)してご紹介します。
https://note.com/tiktok/n/ncbcb949ae835?magazine_key=m9f9b1cca723a
「駆けぬける歓び 」
これは、言わずとしれたドイツの高級自動車メーカーBMWのキャッチコピーです。
スポーティーな走り、洗練されたデザイン、安定したコーナリング。そのどれもが上質な仕上がりを見せるBMWという歴史あるブランドに、あなたはどのようなイメージを持っているでしょうか。
おそらく、ドイツのアウトバーンを力強く駆け抜けている姿や、ヨーロッパの伝統的なレンガ造りの町並みを優雅に走り抜ける絵を想像する人が多いはずです。
しかし、「TikTokで有名なBMW」はこれとは少し様相が異なるものです。
こちらの動画をご覧ください。
これは、山形県唯一のBMW正規ディーラーYamagata BMWで働くBMWのオネーサン(@my_name_is_bmwladies)のアカウントです(以下、オネーサンと表記)。
なんと、そのフォロワー数は10万人以上!
“会社公認”だというその動画の内容を見ると、クルマの機能説明から、山形の田園風景をバックにクルマを走らせる動画など多種多様。中にはネイティブな山形弁を話してBMWを解説しているユニークな動画まであります。
このアカウント、なぜここまで人気を集めているのでしょうか?
地方都市のディーラーさんがTikTokアカウントを開設すると、その後何が起きるのでしょうか?
この店舗に起きた奇跡を、オネーサンに語っていただきましょう。
目次
- 「これって、なんの広告も打っていないんですよ。すべて0円なんです」
- BMWというブランドを保ちながらいかにして投稿するのか
- むしろ、方言は武器。山形弁のなまりがウケる
- “地元の資源”にいかに気づき、いかに活かすか?
- クリエイタープロフィール
「これって、なんの広告も打っていないんですよ。すべて0円なんです」
オネーサンはもともと受付として入社し、3年前からはマーケティング業務にも取り組むようになり、SNS運用を開始したといいます。
「今の時代ってどこのディーラーもSNSアカウントを持っているんです。なので、SNSの運用を始めてからも、来客数に大きな変化はありませんでした。さらに山形のディーラーは首都圏のディーラーと比べて、絶対的にお客様の数が多くありません。このまま続けると、全国各地のディーラーと同じだな…と悩んでいました」 |
山形県の人口はおおよそ108万人。
これに対し、東京都世田谷区の人口だけで約93万人。東京23区全体で968万人。単にSNSを運用しても、フォロワー数は都市部の人口と比例関係にあるだけで大きな変化は見込めない…。
彼女はそう判断したのです。
「そこで2020年4月に始めたのがTikTokです。TikTokの反響はほかのSNSとは大きく違いました。通常、うちの店舗は山形県内のお客様がほとんどです。しかし、『TikTokを見た』と宮城から来られたお客様がいらっしゃったり、県内でも『BMWのオネーサンに会いに来た』というお客様がいらっしゃいました。これって、なんの広告も打っていないんですよ。すべて0円なんです。すごくないですか?」 |
では、実際にTikTok動画がきっかけでクルマを買われた方もいるのでしょうか?
「すでに当店をご利用いただいているお客様の中で、TikTok動画で興味を持ってくださって、2シリーズアクティブツアラーに乗り換えていただいたお客様がいらっしゃいます。他に、新規のお客さまで試乗に至ったケースは4件、商談は5件。成約が3件という状況です 」 |
BMWといえば、車両によっては1000万円近くする高級輸入車メーカー。
人口約100万人の山形県内において、TikTokの動画だけでこれだけの集客があることがいかにすごいことかは簡単に想像がつきます。
BMWというブランドを保ちながらいかにして投稿するのか
しかし、ここまでオネーサンの話を聞いていて、一つ気になる点も。
BMWというブランドイメージを維持しながらTikTokアカウントを運用するのはなかなか難しかったのでは?
やはり、スタイリッシュな高級車のイメージを保ちながら親近感のわく動画を投稿するというバランス感覚が求められそうです。
「たしかに、それは当初心配していました。BMWのブランドイメージを保ちながらTikTokユーザーに支持される動画とはなにか、かなり考えました。が、至った結論はシンプルでした。どんな形であれ、クルマの魅力を伝えること。それだけです。店舗からもブランドイメージを逸脱せずに続けてくれればTikTokの投稿は続けてよいと言われています」 |
特に、クルマの機能を説明する動画はかなりいいねとコメントが集まりやすいのだと言います。
「最新のBMWには便利な機能がたくさん備わっています。しかし、文字だけ読んでもその機能が具体的にわからないケースが少なくありません。そこで、最新機能を私が話しながら噛み砕いて説明する動画は反響がとても大きいですね。中には同業者の方からも『参考になった!』とコメントをいただけることもあり、とても嬉しいです」 |
むしろ、方言は武器。山形弁のなまりがウケる
しかし、オネーサンがTikTokで高い人気を誇る理由は、もっと別のところにもあります。
こちらの動画のように、山形弁でドイツ製の輸入車の話をする。そのギャップとあたたかみが人気を集めているのです。
「BMWというブランドイメージが世界共通の製品を扱う中で個性は出しにくいです。でも、方言という文化性や地理性を入れればそこに少しだけ個性が生まれます。たとえば、同じ言葉でも山形弁で言ってみるバージョンと普通に言ってみるバージョンで投稿すると、大きな反響をいただけます」 |
ただし、「方言が全面的に出ている投稿ばかりをするのはよくない」とオネーサンは語ります。
「こういう文化的な個性も、たまに出るからおもしろいと思うんです。あくまで、主役はクルマ。クルマの魅力や機能を語って、たまにローカル性が出るくらいがいいと思うんです。なので方言の混じった私が話す投稿は多くても週に一回程度にとどめています」 |
ほかにも“地理性”が入った投稿はコメントやいいねの数が大きく反響が大きいのだといいます。
「雪の上でクルマを走らせている投稿は『ステキ!』『かっこいい!』とポジティブなコメントをたくさんいただきました。雪が積もらない地域に住んでいる人にとっては、雪の上でクルマが走っているだけでバズるんだなと驚いたのを覚えています」 |
オネーサンいわく、「いま住んでいる場所の当たり前のものにこそ、バズる要素が隠れている」のだといいます。
「特に、走行動画は首都圏では広めの場所を貸し切って撮る必要がありますが、山形は歩行者を妨げて撮るといった内容じゃない限り、警察に道路使用許可をもらう必要もありません。誰もいない田んぼのど真ん中で撮った写真は都会の人からは『空がすごくきれいですね!』などとたくさんコメントをいただき、普段よりも再生回数が多かったですね」 |
地元の何気ない風景、そして方言。
それらはすべて、世界中の人に見られるTikTokというプラットフォームでは強烈な個性として価値を生むのです。
“地元の資源”にいかに気づき、いかに活かすか?
ということは、今からTikTokを始めようとする企業は地元の見えない資産を活用すればよいということでしょうか。
「そうですね。先ほど、広告費0円でお客様が来店してくださったというお話をしましたが、私の動画の素材として使われている田んぼも、山形弁の方言も、全部仕入れ額が0円なんです。プロモーションの予算がない、だけど知っていただきたいと困っている方は地元の資源を活かさない手はないと思います」 |
とはいえ、何より忘れてはならないのは、製品の魅力をどのような形でも伝えるということ。
「たしかにTikTokで流行っている音楽に合わせてリップシンクで踊る動画もそれなりにウケると思います。でも、仮にダンスをしたとしても、背景にクルマを合わせたり、クルマを音楽に合わせて動かしたり、どこかでBMWと関連する動画にすること。世界観を統一して、もっとも推したいポイントは外さないことが大事だと思います」 |
では、実際にオネーサンの動画を見てTikTokアカウントを運用しようと思っているディーラーさんにアドバイスを送るとするならば?
「そうですね…。やはり、まず担当者を決めるのがよいと思います。たしかにBMWの車両にも魅力はあります。でも、TikTokは人に人気が集まるSNSです。なので、ブランドや店舗といった抽象的なものよりも、具体的な“この人”を売っていくこと。人がメインならばしゃべるだけでもよいので機動力もありますし、大規模な撮影も最初は必要ないので始めやすいと思います」 |
地域の資源を発見し、人を打ち出す。
「うちにはSNSにあげられるネタはなにもない」そんな諦念を持っている企業や店舗も、一度自分たちの資源を改めて棚おろしすれば、人気アカウントになるポテンシャルが見つかるのかもしれません。
クリエイタープロフィール
BMWのオネーサン
山形県出身、本名年齢非公開。
YamagataBMWに勤め、マーケティングを担当。
若者の車離れやコロナ禍により激減した来客数をどうにかしようとTikTokでBMWの魅力紹介を始めると共に、地元山形を盛り上げるべく様々な地元企業とのコラボ活動も精力的に行っている。
週刊SPA!特集にて【ニッポンを変える100人】に選出。その他全国TVに出演する等、様々なメディアに掲載。
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