あたらしい時代のマーケティングにTikTokが必須なワケ

2022-10-19

今、TikTokが世の中のトレンドや消費の着火点になりつつある。

2021年度のトレンドワードとして「TikTok売れ」がバズったことが記憶に新しいように、次々とTikTok発のヒット商品が登場。もはや企業のマーケターにとって看過できないプラットフォームになっている。

なぜ、ユーザーはショートムービーに熱狂するのか。そして、マーケターや企業はこの新しいプラットフォームとどのように向き合えばいいのか。

世界のマーケティングの潮流や消費者のインサイト動向に詳しいHenge Inc.廣田周作氏と、TikTok for Business Japan駒﨑誠一郎氏が、TikTokがユーザーの心を掴む理由や、今マーケターがTikTokに注目すべき理由について、意見を交わした。

 

※このインタビューはNewsPicksにて2022年9月29日に広告掲載したものです。

あたらしい時代のマーケティングにTikTokが必須なワケ

誰もがアーリーアダプターになれるプラットフォーム

──昨年「TikTok売れ」がバズワードになりました。TikTokで商品がバズり、モノが売れる。その要因をどのように分析していますか。

駒﨑:いくつか要因はありますが、生活者の情報接触の仕方が変わってきたことが大きいと思います。今は情報量が膨大になって、生活者も検索するのが億劫になってきている部分があります。

そんな中で、TikTokのアプリを起動すると自分がフォローしている情報だけではなく、「おすすめ視聴」でフォローしていない情報があらゆる角度から届くわけです。

「今好きなもの」だけではなく、従来のSNSでは出会えなかった「次に好きなもの」に出会えることが、生活者の心に刺さったのだと思います。

また、特に2020年以降はユーザー層の幅が広がり、今ではユーザーの3人に1人が25〜44歳、25〜44歳女性ユーザーの4人に1人が主婦ユーザーです。

ユーザーの多様化が進むにつれ、投稿されるコンテンツも日常のシーンを紹介する動画や商品レビュー動画などが増加。こうした背景が「TikTok売れ」につながっていると見ています。

廣田:TikTokは情報のセレンディピティが高く「意図しない発見」が多い。だからサーチする行為、いわゆる「ディグる」のが楽しいんですよね。

加えて、TikTokはカルチャーとの親和性が高いプラットフォームであり、だからこそ人の心を捉えるのでしょう。

そのうえで、今は生活者がブランドにカルチャーとコミュニティを求めるようになってきている。商品名を検索して特徴や機能を調べてから選ぶという従来の行動から、カルチャーとの出会いを楽しむ中で今イケてるものを探すという行動に変わってきているんです。

例えば、僕はHIP HOPが好きでメジャーなアカウントをフォローしているのですが、「これも好きなはず」と原石のようなアカウントも教えてくれる。最近だと「Choppa Capone(チョッパ・カポネ)」というラッパーをおすすめされて。見事に僕の好みでした。

駒﨑:「Choppa Capone」、覚えておきます(笑)。

廣田:「みんなまだ知らないだろうけど、これから来るよ」という情報にたくさん出会えて、見つけたものを周囲の人におすすめしたくなる。この点が特にカルチャー好きな人にハマったのかなと。

カルチャーとコミュニティがベースにあり、誰もがアーリーアダプターになれるところが、結果的に購買にもつながっているのだと思います。

僕の周りの若い人たちは平気で5時間くらいTikTokを見ていて、得た情報をレポーティングしてくれるんです。「すごいの見つけた!」って。

新しくて面白いものを見つけたいというモチベーションでTikTokを見ているので飽きずに、ずっと視聴できるんですよね。

駒﨑:すごく共感します。TikTokが一気に広がった背景には、情報との新しい出会い方に共感が集まったことが大きいと思います。

何がユーザーにとって魅力だったのか。それは、TikTokがオーセンティックなプラットフォームだからだと思います。つまり、“嘘がないコンテンツ”が生まれる場所だということ。

動画は流しっぱなしになるので、いくら加工してもどこかで自然体の姿が映し出されます。

だからこそ、そこで語られる言葉がリアルになる。この点が、音楽をはじめとしたカルチャー領域と親和性が高い理由だと思います。

今は「情報が人に向かってくる時代」

駒﨑:日本でトップクラスのTikTokクリエイター「マツダ家の日常」の関ミナティさんが、この前こんなことを語っていました。

「これまでは検索して情報を取りに行っていたけれど、今は情報が人に向かってくる。人が情報を選ぶのではなく、情報が人を選ぶようになった」と。

今までだと、ラーメンを食べたいときに画像検索していたのが、今はラーメンの動画が自分を探してくれる。表示された動画に対して「いいね」を押していくと、より自分の好みに合う動画に出会えるようになる。

それだけでなく、想定内の情報だけだと飽きてしまいますが、TikTokの場合はまだ見たことがないイレギュラーな情報も入ってくるので、無限にディグれる感覚になるのかなと思います。

廣田:レコード屋でジャケ買いする感覚ですよね。それに加え、最近は情報の“深み”も出てきています。

 例えば、最近USで本を紹介するハッシュタグ「#BookTok」というのが盛り上がっていて。これだけ若者の本離れが進んでいるのに、TikTok経由で本が売れる現象が起きています。しかも、移民の本など、マイノリティの人たちが書いた本がバイラルしているんです。

@thechloegong did I get emotional making this? yes. #booktok #booktiktok #yabooks #authorsoftiktok #writertok #writersoftiktok #wattpad #bookclub #fyp #WIP ♬ Follow Kologuy – Albert

もちろん動画として面白く作られているからバイラルするのですが、文化の多様性にアクセスできたり、今まで知らなかったことを知れたりするのが、TikTokならではですよね。

浅い情報の中に、瞬間的に深くてインパクトのある情報を発見できる。これはマーケターとして見ていて興味深いですね。

駒﨑:浅くて深いというのは面白い視点ですね。興味の入り口としてTikTokに価値を感じてくれるユーザーは多いと感じています。

主婦の方にインタビューしたとき、「TikTokは発見の素」だと話してくれたんです。忙しくて時間がなくて自分が何を知りたいかわからない。だけど、TikTokを開くと発見の素がたくさん出てくる。気になったモノがあれば検索したり、店舗に行ってみたりする、と。

こういう使い方をするユーザーは増えています。発見に価値を感じてくれる。これは全世代共通だと思います。

緩く、自由で、参加しやすい「群衆型コミュニティ」

──コメントのやりとりが活発な点もTikTokの特徴だと思います。お二人はどのようにTikTokのコミュニティを捉えていますか。

駒﨑:TikTokの場合、興味の薄い人から濃い人まで幅広く、自由に集まる「群衆型コミュニティ」が形成されているのも特徴のひとつです。

コメント欄でユーザー同士が「その商品を使ってみてどうでした?」「私炭酸苦手なんですけど飲めますか?」とか、何気ないことを質問しながら、ひとつのゆるいコミュニティが生まれている。

ふらっと立ち寄って、ちょっと会話して、すぐ去って別な動画を見る。こういう緩さが許容されている。だけど、つながりのサイズ感は大きい。その点ではマスっぽいコミュニティなんです。

だから、一気に人が動くと大きなトレンドが生まれることもあります。

廣田:今の話に加えて、TikTokは「関与型コミュニティ」にもなっている点が面白いと感じています。

コメントや動画を投稿するハードルが低いので、情報を取得するだけではなく、自分も盛り上がっているトピックのバイラルに参加したくなる。そのコミュニティの中から、新しいカルチャーを生み出すような大きなムーブメントが自然発生的に生まれることもあります。

企業にとっては想定外のムーブメントが起きて「どうしよう、困ったな」と焦ることもあるかもしれません。

そのときに、無反応を貫いたり、反対したりするのか。あるいは、ユーザーと対話して、遊び心を持ってムーブメントに乗っかっていくのか。後者の対応ができるブランドは、ユーザーに受け入れられていくと思います。

いわゆるITソリューション、デジタルマーケティングというと、何かの課題を解決するイメージがありますが、TikTokの場合は人が自然と集まって、そこからプロジェクトが生まれていく。

マーケターはこうしたTikTokのコミュニティを理解したうえで、単なるデジタルマーケティングツールのひとつとしてだけではなく、“カルチャーのドライバー”として大きく捉えることが重要だと思います。

駒﨑:同感です。TikTokのグローバルミッションは「inspire creativity and bring joy(創造性を刺激して喜びを届ける)」です。

みんなで楽しさや喜びを共有しようという観点でプラットフォームをつくっているので、ユーザー同士の会話が生まれやすい場になっているんですよね。

なので、TikTokを「みんながアイデアや才能を持ち寄って楽しむ場」として捉えてもらうと、今どんな現象が起きているか、何をしたら盛り上がるのかが見えてくると思います。

本音で、自然体に。ユーザーと楽しい時間を共有する

──企業がマーケティング戦略にTikTokを活用しようとしたとき、「具体的に何をしたらいいのかわからない」というケースもあると思います。どんな取り組みが効果的でしょうか。

駒﨑:活用のパターンとしては大きく2つあります。ひとつは商品やブランドを知ってもらう「興味の入り口」として活用し、目の前のビジネスを活性化させていくパターン。

情報を発信しても、ユーザーの目に留まらなければ意味がありません。大事なのは、ユーザーに「これは新しい発見だ」と思ってもらうこと。そのための最初の入り口としてTikTokを活用するのは相性がいいと思います。

もうひとつは、企業の社会貢献活動やサステナビリティなどを紹介する場として使うパターン。USやEUでは、大きなビジョンで自社のメッセージを伝え、未来につなげていく場としてTikTokを活用する企業が増えています。

先ほど「TikTokはオーセンティックなプラットフォーム」という話がありましたが、かっこつけられない、取り繕えない場で企業がメッセージを発信することで、ユーザーは「本気なんだな」と受け取ってくれます。

今後は日本でもこうした使われ方が増えていくのではと思います。

企業がTikTokで発信するときは、「これならユーザーが楽しんでくれるだろう」と思うコンテンツを出していくことが重要です。

TikTokはユーザーとの距離が近いプラットフォームです。人対人のコミュニケーションと捉えて相手にどうやったら喜んでもらえるかを考えると、何をすべきかは自然と見えてくるのかなと。

編集して、加工して、デコラティブな情報を届けるのではなく、皮をそいで残った芯の部分をユーザーに届けていく。企業のパーソナリティをユーザーと交換しあって、一緒に楽しむ姿勢が大事だと思います。

廣田:それに加えて、エンタメの要素も忘れてはいけないですよね。「誠実だけど楽しい、とは何か」をちゃんと考えないといけない。

例えば、公園でみんなが遊んでいるところに、突然メガホンで「うちの新商品は〜」と言われても、気まずい空気が流れるだけですよね。

そうではなく、自分の輪で楽しんでいる人たちにどうやって話しかけて、おしゃべりの輪に入っていくかを考える。ユーモアやエンタメの視点を意識して、いかにユーザーに興味を持ってもらうかがポイントです。

さらにいえば、一方的な発信や傾聴だけでなく、ユーザーと対話やコラボレーションをして、一緒に遊ぶ感覚を持つことも重要でしょう。

マーケターは、TikTokで“真面目に”遊べ

──TikTokの登場でマーケティングの考え方が大きく変わりました。こうした中で、これからのマーケターにはどのような視点が求められていると思いますか。

廣田:マーケティング施策を考えるうえでは、ブランドとしてのアイデンティティをしっかりと持つことが大事です。それがブレたままで取り組んでいると、結局跳ね返ってきて「うちのブランドって何だっけ?」と問われると思います。

ブランドとして何を発信すべきか、何をやらないか。マーケターは明確な基準を持っておく必要があります。

駒﨑:TikTokはどんなメディアかと聞かれたとき、私たちは「インパクトメディア」と答えています。

知らなかった情報に出会えて、緩いつながりのコミュニティがあって、情報交換をする。そういういくつかのピースが合わさって、ユーザーの態度変容につなげることができる。それによって、最終的にビジネスに大きなインパクトを出せるのがTikTokです。

おすすめ動画、コミュニティ、エンタテインメントの3つがかけ算されることで、ユーザーの心を動かす。そうすることで、売り場の棚が動き、数字が動き、ビジネスが動く。

この特性をふまえたうえで、TikTokを最大限に活用してもらえればと思います。

廣田:正直、マーケターの中には「TikTokよくわからない」という人もいると思うんです。でも、それはもはや通用しない時代です。

エンタメも、ヒット商品も、今や多くがTikTok経由で話題になったものばかり。その情報に触れていないということは、生活者のリアルな声が集まる生の現場を見てないようなもの。

市場規模は経済誌を読めばわかりますが、「何が生活者の心を動かしているのか」の答えは現場にしかありません。だからこそ、マーケターは積極的に一次情報を取りにいき、「今何がイケてるのか」を自分の肌感覚で掴むことが重要だと。

人の心が動く現場に飛び込んで、何が起きているかを自分の目で見ること。アプリをタップすればすぐに“現場”が広がっています。

そのうえで、マーケターのみなさんには、「真面目にTikTokで遊べ!」と伝えたいですね。

 

Sponsored by TikTok for Business Japan

文:村上佳代
撮影:小池彩子
デザイン:亀山圭一
編集:中野佑也、奈良岡崇子

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